後期高齢者診療料の届け出「慎重な対応を」/仙台市医師会が通知

 河北新報記事、窓口に相談者の列 後期高齢者医療、保険料天引き開始より。

窓口に相談者の列 後期高齢者医療、保険料天引き開始


 75歳以上の約1300万人が加入して1日スタートした後期高齢者医療制度長寿医療制度)で、保険料を年金から天引きする「特別徴収」が15日始まった。仙台市の各区の窓口でも、職員が制度についての説明や天引き額を確認するため訪れた高齢者の対応に追われた。


 国民健康保険から新制度に移行した人のうち832万人が天引きの対象。偶数月の年金支給日に合わせて2カ月分が引かれる。保険料は都道府県や所得によって異なるが、国民年金だけで生活している人の2カ月分は全国平均で約2000円。


 一部自治体では対象外の人を徴収リストに加えたり、算定額を誤ったりするミスが相次いで発覚。多くは修正が間に合わず、いったん天引きされた。対象外の人の保険料は後に返還される。


 仙台市太白区保険年金課「医療助成」の窓口には、午前8時半の受け付け開始直後から高齢者が列をつくった。


 「年金が減ったのに保険料の負担が増えた」という太白区の無職女性(78)は「こんなにお金を引かれ、わたしたちは長生きしてはいけないの」とため息を漏らした。


 仙台市でも保険料算定の間違いや保険証の未着、徴収対象外の人からの天引きミスが続いた。梅原克彦市長は15日の定例記者会見で、「弁解の余地はない。市を代表して心よりおわびする」と陳謝した。


 一方、「大きな制度の変更だったが、準備期間が短すぎた。厚生労働省の指導がもう少し早く行われていれば、混乱も少なかったのでないか」と不満をのぞかせた。


 宮城県社会保障推進協議会など3団体は「後期高齢者医療制度110番」を開設し、正午までに16件の相談があったという。
 福田康夫首相は15日午前の閣僚懇談会で「広報活動に一層努力していきたい」と述べ、周知徹底に努めるよう各閣僚に指示した。


 舛添要一厚生労働相も記者会見で「保険料を金融機関へ支払いに行く手間が省ける」と利点を強調。保険証が届かないなど新制度をめぐる混乱に関しては「国民に迷惑を掛けて大変申し訳ない。一日も早く落ち着くようにしたい」と述べた。


◎診療料の届け出「慎重な対応を」/仙台市医師会が通知


 仙台市医師会は15日までに、1日始まった後期高齢者医療制度長寿医療制度)について、「制度には多くの問題点があり、診療料の届け出は慎重に対応してほしい」と、約750の会員に通知した。


 宮城県医師会が出した見解を受けた。通知では「後期高齢者診療料は『一人の患者を一つの医療機関が診る』との考えに基づいている。包括医療の導入に当たるばかりか患者のフリーアクセスを阻害する」と指摘している。


2008年04月15日火曜日


 後期高齢者医療制度の混乱が続いている。
 宮城県医師会の見解を受け、仙台市医師会も後期高齢者医療制度への慎重な対応を打ち出している。医師会の反旗が広がりを見せている。