回復期リハビリテーション病棟入院基準変更

 2006年度診療報酬改定によって、回復期リハビリテーション病棟入院基準は下記のとおりとなった。


 厚生労働省より、平成20年度診療報酬改定に係る通知等についてという資料が提示された。回復期リハビリテーション病棟入院基準変更の部分を紹介する。
 別添7様式49に記載されている入院基準を引用する。赤字で記載している部分が追加された部分である。

  • 脳血管疾患、脊髄損傷、頭部外傷、くも膜下出血のシャント手術後、脳腫瘍、脳炎、脊髄炎、多発性神経炎、多発性硬化症腕神経叢損傷等の発症、義肢装着訓練を要する状態又は手術後2ヶ月以内
  • 大腿骨、骨盤、脊椎、股関節又は膝関節の骨折の発症、二肢以上の多発骨折の発症後又は手術後等2ヶ月以内
  • 外科手術又は肺炎等の治療時の安静により生じた廃用症候群を有しており、手術後又は発症後2ヶ月以内
  • 大腿骨、骨盤、脊椎、股関節又は膝関節の神経、筋又は靭帯損傷後1ヶ月以内
  • 上記に準ずるもの


 腕神経叢損傷、義肢装着訓練を要する状態、そして、二肢以上の多発骨折が新たに回復期リハビリテーション病棟対象に加わった。
 問題は、義肢装着訓練を要する状態である。日本でも高齢者の血管原性切断が増えている。このような切断患者のほとんどは義肢適応とならない。


 2006年改定で、下肢の骨折という記述がなくなり、代わりに、大腿骨、骨盤、脊椎、股関節又は膝関節の骨折の発症又は手術後という文言に変わった。このため、下腿切断や下腿以下の骨折の患者が回復期リハビリテーション病棟対象から除外されてしまった。やむをえず、外科手術又は肺炎等の治療時の安静により生じた廃用症候群という規定を利用し、回復期リハビリテーション病棟対象とすることもあった。
 下腿以下の骨折や切断が対象から除かれた一方、大腿骨、骨盤、脊椎、股関節又は膝関節の神経、筋又は靭帯損傷後という緩やかな規定も加わった。


 膝関節までと下腿以下で対応を変える現行の規定には矛盾が多い。義肢装着訓練を要する状態という文言にも違和感を覚える。下肢の骨折・切断等の発症または手術後という表現にすべきではないだろうか。