2009年度介護報酬改定、通所リハ騒動(まとめ)

 2009年度介護報酬改定において、通所リハビリテーションが大問題となった。当ブログの関連エントリーを時系列にしてまとめた。


# 介護報酬改定 通所リハビリテーション(2009年1月4日)
 2009年度介護報酬改定諮問書を分析した。短時間型(1時間以上2時間未満)通所リハビリテーションの創設、リハビリテーションマネジメント加算、短期集中リハビリテーション実施加算及び個別リハビリテーション実施加算の要件変更、人員基準の変更などが行われることを確認した。


# 通所リハ、リハマネジメント加算の矛盾(2009年1月20日)
 介護報酬当てはめ作業をする中で、通所リハビリテーションが大幅な減収となることに気づいた。リハビリテーションマネジメント加算の要件が、月に8回以上リハビリテーションを行っている場合に制限されたことにより、短期集中リハビリテーション実施加算及び個別リハビリテーション実施加算が算定できなくなったことがその理由だった。


 この時点では、次のような感想を私は抱いていた。

 私は、今回の問題は厚労省担当者の単純ミスとみる。なぜならば、訪問リハビリテーションでは、リハビリテーションマネジメント加算が廃止され、短期集中リハビリテーション加算にまるめられた。老健施設における短期集中リハビリテーション実施加算も同様である。他のリハビリテーション関連報酬との違いが顕著であり、矛盾がある。


# パブリックコメント送付(2009年2月8日)

 通所リハビリテーションに関し、パブリックコメントを送付した。


# 通所リハ、リハマネジメント加算の要件(2009年3月1日)

 介護報酬の解釈通知が明らかになった。この時点での情報を次のように整理した。

 解釈通知に盛り込まれている内容はまとめると、次のとおりになる。


 さらに、「厚生労働省全国介護保険・高齢者福祉担当課長会議」での回答をふまえると、次の規定が加わるか、Q&Aで運用上許容されると予測する。

  • 月半ばの利用開始だけでなく、利用者の都合による利用中止、利用者の症状が好ましくないことから利用回数に制限があるという場合でも、リハビリテーションマネジメント加算が算定できるようにする。


# 通所リハ、リハマネジメント加算の憂鬱(2009年4月7日)

 三重県|高齢者福祉・介護保険:介護保険最新情報(厚生労働省通知)内にある、「介護保険法施行規則の一部を改正する省令の施行について」等の発出について(平成21年3月13日介護保険最新情報VOL65)、別紙1の50〜56ページに通所リハビリテーションに関する改定内容がある。リハビリテーションマネジメントに関する内容に変更はないことを確認した。
 また、平成21年4月改定関係Q&A(Vol.1)について(平成21年3月23日)介護保険最新情報VOL69の24〜25ページに通所リハビリテーションに関するQ&Aが載せられていた。リハビリテーションマネジメント加算に関しては、「あくまで月8回以上」の利用が必要であることが強調されていた。


# 通所リハ、リハマネジメント及び個別リハ実施加算の要件大幅に緩和(2009年4月12日)

 平成21年4月改定関係Q&A(通所リハビリテーションにおけるリハビリテーションマネジメント加算及び個別リハビリテーション実施加算関係)について(平成21年4月9日)介護保険最新情報vol.74という文書が掲載された。これまでの見解とは異なり、リハビリテーションマネジメント加算及び個別リハビリテーション実施加算の要件が大幅に緩和されていた。特に、問4の答が重要なターニングポイントとなっている。

問4 「高次脳機能障害(失語症含む)」、「先天性又は進行性の神経・筋疾患」については、月8回以下の利用であっても、個別リハビリテーション加算を算定できることとされたが、その他、どのような場合に個別リハビリテーション実施加算の算定が可能となるのか。


(答)
 指定通所リハビリテーション事業所の医師の診察内容及び運動機能検査の結果を基に、リハビリテーションの提供に関わる医師、理学療法士、作業療法士若しくは言語聴覚士、看護職員又は介護職員等が協働して作成する通所リハビリテーション実施計画において、概ね週1回程度の通所であっても効果的なリハビリテーションの提供が可能であると判断された場合について は、月8回以下の利用であっても、個別リハビリテーション実施加算の算定が可能である。ただし、この場合であっても、個別リハビリテーション実施加算の算定要件を満たしていただく必要がある。


 Q&Aをもって、通所リハビリテーションにおけるリハビリテーションマネジメント騒動は、事実上終息した。
 本騒動を振り返って、未だに疑問がある。何故に厚労省は「あくまで月8回以上」の利用が必要であるということにこだわったのか。最初に抱いた感想を繰り返すしかない。通所リハビリテーションリハビリテーションマネジメント加算要件の設定は、厚労省担当者の単純ミスだった。しかし、官僚無謬論に立つ彼らは決して過ちを認めようとしない。この間に費やされた労力を考えると、官僚が自らのミスを率直に認めないことが如何に有害かを痛切に感じる。