リハビリテーションの歩み その源流とこれから
日本リハビリテーション医学会は創立50周年を迎え、先日、http://www.congre.co.jp/jarm2013/が行われた。その際、特別企画として、「記念すべき年1963年−日本リハ医学会創立をめぐって」という題で、上田敏先生の講演があった。講演の内容は、上田先生の最新刊である「リハビリテーションの歩み その源流とこれから」に沿ったものだった。
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- 作者: 上田敏
- 出版社/メーカー: 医学書院
- 発売日: 2013/06/17
- メディア: 単行本
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日本のリハビリテーション医学において、1963年は記念すべき年だった。次の3つが同じ年に起こっている。
- 日本リハビリテーション医学会創立総会(9月29日)<研究発表と医師の教育>
- 日本最初の理学療法士・作業療法士教育機関である、清瀬の国立療養所東京病院附属リハビリテーション学院開校(5月1日)<リハビリテーション専門職の教育>
- 日本最初の大学病院リハビリテーション医学診療施設である、東京大学医学部附属病院リハビリテーション部開設(7月1日)<大学病院における臨床>
上田先生は、上記3つに全て関わっていた。日本リハビリテーション医学会創立時の最年少役員(当時31歳)であり、かつ、唯一の生存者である。初めて知る秘話が満載であり、当時の状況が生き生きと蘇る。
なぜ、このような重大な出来事が1963年に相次いだかということについて、さらに50年さかのぼり、歴史が語られる。上田先生は、次の3つの時代的要請があったことを明らかにしたうえで、下記のようなまとめをしている。
3つの問題が重なりあい、リハビリテーションは、国民の一部の層だけでなく、全年齢層が対象となり、「国民的課題」となった。1963年という特定の1年間に、リハビリテーション医学の「臨床・教育・研究」の3者がほとんど同時に出発したのは偶然といえるものだったかもしれないが、遅かれ早かれ姿を現す「機」は「熟して」おり、「必然的」出来事だった。
欧米、特に上田先生が留学した米国のリハビリテーション医学の歴史や、リハビリテーション医になることを目指した私史、日本と世界のリハビリテーション医学のこの50年間の発展にも触れられている。
リハビリテーション医学の歴史を語る際、本書に記載されている内容は興味深く、リハビリテーション医学の講義の際、副読本として学生たちに勧めることにしたい。
<追記>
厚労省HPから削除されていた、高齢者リハビリテーションのあるべき方向が、どるくす工房/特集記事のページにあることを確認した。私的なHPのようだが、本書でもリンク先が記載されている。上田先生も問題なしと判断しているようである。日本のリハビリテーション医療の方向性を決めた重要な資料であり、ご一読を勧める。