被災地の医療費自己負担免除は2月末で終了?

 入院中の患者より、医療費についての相談があった。これまで医療費自己負担が免除されていたが、今月末で措置が終了するので心配とのことだった。
 東日本大震災関連情報、医療保険について|厚生労働省に詳しい情報がある。

 平成23年7月1日以降は、原則として、免除証明書を提示した方のみ、一部負担金等の支払いが免除されます。現在、一部負担金等の支払いが免除されている方は、加入している医療保険の保険者に連絡し、免除証明書の申請を行って下さい。


 免除証明書が交付されるのは、災害救助法の適用地域(東京都を除く)や被災者生活再建支援法の適用地域の住民(地震発生後、他の市町村に転出された方を含む)かつ、以下のいずれかに該当する方です。


1 住宅が全半壊、全半焼又はこれに準ずる被災をした方
2 主たる生計維持者が死亡したり、重篤な傷病を負った方
3 主たる生計維持者が行方不明である方
4 主たる生計維持者が業務を廃止・休止した方
5 主たる生計維持者が失職し、現在収入がない方
6 東京電力福島原発の事故に伴う政府の「警戒区域」、「計画的避難区域」及び「緊急時避難準備区域」に関する指示の対象になっている方(9月30日に緊急時避難準備区域に関する指示が解除になりましたが、当分の間は取扱いは変わりません。)
7 特定避難勧奨地点に居住しているため、避難を行っている方


(中略)


免除期間
平成24年2月29日診療等分まで
(入院時食事療養費および入院時生活療養費は別途定める期限までの間)


 医療費自己負担問題に関しては、2012年1月12日に次のような報道がされている。

 東日本大震災の被災者を対象に続けている医療費の自己負担分の全額免除について、厚生労働省は、対象範囲を3月から縮小することを決めた。東京電力福島第一原発の事故による警戒区域などからの避難者を除き、サラリーマンとその家族は3月から、原則3割の自己負担に戻る。


 現在、被災者のうち、住宅が全半壊したり家計を支えていた人が死亡・行方不明になったりした人や、原発事故で避難させられた人が医療機関で診療を受けた場合、窓口で払う自己負担分は全額免除となっている。ただ、2月末までの予定で、3月以降の対応が焦点となっていた。

 厚労省は、避難生活の負担の重さを考え、福島県警戒区域計画的避難区域、特定避難勧奨地点から避難している人については、来年2月末まで全額免除を継続することにした。


 警戒区域などからの避難者以外では、自営業者、退職者が多い国民健康保険国民健康保険組合に加入している人と、後期高齢者医療制度の対象である75歳以上の人について、9月末まで全額免除を続ける方針。


 一方、被用者保険に加入する会社員や公務員ら勤め人とその家族については全額免除を取りやめ、3月から従来通りの自己負担に戻る。


 厚労省の担当者は「医療費の免除はもともと時限的な措置。サラリーマンは一定の収入を確保しているので本来の自己負担をしてもらうことにした」と話している。


 所得などに応じて徴収される公的医療保険の保険料も、同じ条件で減免しているが、3月末で期限を迎える。地域を問わず勤め人は打ち切る。勤め人以外は継続し、警戒区域などからの避難者は来年3月まで、そのほかの地域の住民は今年9月までとする予定だ。

asahi.com(朝日新聞社):被災地の医療費全額免除、3月から縮小へ 厚労省 - 東日本大震災


 厚生労働省のHPを随時チェックしているが、報道後に具体的な資料は提示されていない。2012年度診療報酬改定論議中であること、福島県の小児医療無料化の論議がされていたことなど、様々な政治事情があり、発表が遅れているのではないかと推測している。
 今回、相談を受けた方は国民健康保険加入者であり、報道どおりとすると、3月以降も自己負担なしのはずである。しかし、裏付けがない段階では迂闊なことは説明できない。医療費自己負担無料化の打ち切りに伴い、受診抑制が起こる恐れがある。被災地の復興は道半ばである。家族を失い、住居をなくし、仕事に就くあてもない被災者の健康問題が一気に悪化するのではないかと危惧する。


<追記> 2012年2月7日
 本日、被災者医療費自己負担分免除措置延長に関する通知を確認した。患者への説明がこれで可能となる。