早期、外来、訪問リハビリテーションの見直し

 リハビリテーションに関する診療報酬改定を引き続き取り上げる。今回は、早期リハビリテーション、外来リハビリテーション、訪問リハビリテーションについてである。中央社会保険医療協議会 総会 (第219回) 議事次第 平成24年1月30日(月)内にある個別改定項目について(その2)、50〜54ページの部分である。


# 早期リハビリテーション

 早期リハビリテーション加算について、より早期の期間における評価を引上げ、それ以降についての評価を見直す。
【心大血管疾患リハビリテーション料】【呼吸器リハビリテーション料】
注2(1単位につき)
1 早期リハビリテーション加算1(14日以内)
リハビリテーション科の医師が勤務している医療機関の場合 ○点(新)
ロ その他の場合 ○点(改)
2 早期リハビリテーション加算2(15日以上30日以内) ○点(改)


【脳血管疾患等リハビリテーション料】【運動器リハビリテーション料】
注2(1単位につき)
1 早期リハビリテーション加算1(14日以内)
リハビリテーション科の医師が勤務している医療機関の場合 ○点(新)
ロ その他の場合 ○点(改)
2 早期リハビリテーション加算2(15日以上30日以内) ○点(改

 「引上げ」とあるので、早期リハビリテーション加算1は上がる。特にリハビリテーション科の医師が勤務していれば間違いなく上がる。一方、「見直し」というのは通常引下げを意味するので、15日以上30日以内は下がる。気になるのは、リハビリテーション科医師が勤務していない医療機関の場合である。本資料だけでは上がるのか据え置きかはよく分からない。


# 外来リハビリテーション

 1週間に2回以上又は1週間に1回以上のリハビリテーションを実施しているが、必ずしも毎回医師の診察を必要としない患者について、リハビリテーションの包括的な指示に対する評価を新設する。
(新) 外来リハビリテーション診療料1 ○点(7日につき)
(新) 外来リハビリテーション診療料2 ○点(14 日につき)


[算定要件]
外来リハビリテーション診療料1
1) リハビリテーション実施計画において、1週間に2日以上疾患別リハビリテーションを実施することとしている外来の患者に対し、包括的にリハビリテーションの指示が行われた場合に算定する。
2) 算定日から7日間は医師による診察を行わない日であってもリハビリテーションを実施してよい。
3) 算定日から7日間はリハビリテーションを実施した日について初・再診料、外来診療料を算定しない。
外来リハビリテーション診療料2
1) リハビリテーション実施計画において、2週間に2日以上疾患別リハビリテーションを実施することとしている外来の患者に対し、包括的にリハビリテーションの指示が行われた場合に算定する。
2) 算定日から 14 日間は医師による診察を行わない場合であってもリハビリテーションを実施してよい。
3)算定日から 14 日間はリハビリテーションを実施した日について初・再診料、外来診療料を算定しない。


[施設基準]
1)毎回のリハビリテーションにあたり、リハビリテーションスタッフが十分な観察を行い、必要時に医師の診察が可能な体制をとっていること。
2)毎回のリハビリテーション後にカンファレンス等で医師がリハビリテーションの効果や進捗状況を確認していること。


 ポイントは、施設基準の2)である。診察をしてからリハビリテーションを行う体制から、リハビリテーション終了後に医師がチェックするシステムへの変更を許可されたことになる。外来リハビリテーション診療料2の方がより現実的ではないかと思える。週1日以上、通院リハビリテーションを行っている場合には、2週間に1回の診察を行う形となる。一方、2週間に1回以上の低頻度の場合には、これまでどおり、再診料を算定してリハビリテーションを実施することになる。


# 訪問リハビリテーション

1.急性増悪等のためにADLが低下した場合、一時的に算定可能なリハビリテーション単位数を引き上げる。
【在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料】(1単位につき)
1 同一建物居住者以外の場合 300点
2 同一建物居住者の場合 255点
[算定要件]
患者1人につき、1と2を合わせて週6単位に限り算定する。ただし、1月にバーセル指数又はFIMが5点以上悪化した場合、6月に1回、14日に限り1と2を合わせて1日4単位に限り算定する。


2.上記について、介護保険の訪問リハビリテーションを実施中に、通院困難な状態であって、急性増悪等により1月にバーセル指数又はFIMが5点以上悪化した場合にも、6月に1回、14 日間に限り医療保険から1日4単位まで訪問リハビリテーションを提供できるようにする。2.上記について、介護保険の訪問リハビリテーションを実施中に、通院困難な状態であって、急性増悪等により1月にバーセル指数又はFIMが5点以上悪化した場合にも、6月に1回、14 日間に限り医療保険から1日4単位まで訪問リハビリテーションを提供できるようにする。

 介護報酬改定諮問書、訪問リハビリテーションについて(2012年1月29日)に呼応する内容である。急性増悪の指標がバーセル指数とFIMになっているので、全介助でバーセル指数0点ないしFIM18〜22点の場合には、この規定は利用できない。ADLの難易度からすると摂食動作が最も基本的である。食事が自力摂取している群までが対象となる。