大震災時に心血管イベントが増えるメカニズム
災害関連疾患として、脳卒中が増えている印象がある。この問題を考えるうえで、http://www.phcd.jp/shiryo/touhoku_kantou_daishinsai_20110311.html#内にある、「大災害時の心血管イベント発生のメカニズムとそのリスク管理(論文)」(苅尾七臣:心臓 Vol.39 No.2 2007,110-119)が役に立つ。
以上のように,災害は恐怖という急性ストレスに加 えて,避難所生活の不自由さや肉親の死亡などの環境ストレスが重積し,交感神経や視床下部,下垂体,副腎系などを介して,心血管イベント発生の種々のリスク因子の増悪を招くことになる
種々のリスク因子の中には、血圧上昇、血栓傾向、脂質上昇、血糖上昇がある。心血管イベントには、脳卒中および突然死を含む冠動脈疾患、致死性不整脈、肺塞栓、たこつぼ心筋症が含まれる。阪神淡路大震災、新潟県中越地震、米国 9. 11 テロ攻撃、イタリアナポリの地震などにおける研究結果が紹介されている。
今回の東日本大震災においても、同様の現象が、より深刻に起こっている可能性がある。被害地域は広範囲に及び、福島第一原発事故終息まではかなりの長期間を要する。心血管イベントの予防とともに、救急医療からリハビリテーションまでの地域医療の充実が必要である。