震災後の宮城県内人口移動
震災後の宮城県内人口移動に関する報道があった。
宮城県は8日、東日本大震災後、初となる県内の推計人口を公表した。7月1日現在の県人口は232万5473人(男112万8554人、女119万6919人)で、震災前の3月1日現在と比べ、2万1380人減少した。4カ月間の死亡は1万6487人、県外転出は3万4438人に達し、大震災の影響が色濃く表れている。
(中略)
県統計課は「2千人余の行方不明者と住民票を異動せず県外避難中の県民は増減に表れない。震災に伴う実際の人口動態は、推計より大きいのではないか」とみている。
2011年08月09日火曜日
http://www.kahoku.co.jp/news/2011/08/20110809t13004.htm
元になったデータは、http://www.pref.miyagi.jp/toukei/toukeidata/zinkou/jinkou/suikei_top/suikei_top.htmにある。平成23年7月1日のデータを使い、昨年の国勢調査時と比較した社会増減の状況を図示した。赤が100人以上の減少、オレンジが1-99人の減少、水色が1-99人の増加、青が100人以上の増加を示す。なお、女川町と南三陸町は、被災した住民基本台帳ネットワークが未復旧で推計できなかった。
津波被害が大きかった、気仙沼市、石巻市、東松島市、多賀城市、仙台市宮城野区、名取市、亘理町、山元町の社会減が大きいことが一目瞭然である。一方、社会増が大きいのは、仙台市青葉区、太白区、大崎市である。河北新報の記事では、今年3月1日と比べてみると、富谷町、利府町、大和町といった仙台市近郊で社会増が大きいとなっている。
社会増減をもたらした原因として、2つのことが考えられる。一つは、津波被災地に住みながら仙台に通っていた住民が、仕事場に近い仙台市および近郊に転居していることである。仙石線、常磐線が未だに不通となっている。
もう一つは津波被災地からの呼び寄せ老人の増加である。当院にも、沿岸部被災地からのリハビリテーション依頼が明らかに増えている。長期化する被災生活の中で、脳卒中などの発症リスクが高まっている。しかし、地元の医療機関や介護事業所が被災する中で、療養生活がままならない状況となっている。
津波被災地の人口減と、仙台市への人口集中が今回の震災をきっかけに一気に進んできている。