中医協委員から日医幹部はずれる

 中医協委員から、日本医師会の幹部がはずされた。

 中医協にはこれまで、日医から竹嶋康弘副会長、藤原淳・中川俊男両常任理事が委員として出席してきたが、10月1日に任期を迎えたことから、厚生労働省では、長妻大臣等政務三役が中心となって、人事案が検討されてきた。その結果が、10月26日の記者会見で長妻大臣から発表され、診療側委員として、安達秀樹京都府医師会副会長、鈴木邦彦茨城県医師会理事、嘉山孝正山形大学医学部長の3氏を新たに選任する意向が示された。


 これを受けて記者会見に臨んだ中川常任理事は、まず、中医協の設置を定めた社会保険医療協議会法に「医師、歯科医師及び薬剤師を代表する委員」と定められていることに言及。日医は、病院・診療所の開設者たる医師8万5千人、勤務医8万人、計16万5千人の会員からなる医師を代表する組織であり、地域医療を担っている47都道府県医師会、60の大学医師会等を含む891郡市区医師会との密接な連携のもとに日本の医療を支えていると強調し、その日医に特段の相談もなく、中医協委員を内定したことは、誠に遺憾であるとした。

日医白クマ通信(No.1195)定例記者会見「中医協委員内定にいたる人事プロセスを批判」


 日本中の弁護士が登録を義務づけられている日弁連とは異なり、日本医師会は医師ならば全て加盟しているわけではない。地道に活動している都道府県医師会、郡市区医師会などと異なり、日本医師会は診療報酬改定と政治活動にしか興味がないと言わんばかりの活動をこれまでしてきた。特に、個々の医師の政治信条に関わらず、日本医師会の政治組織、日本医師連盟自民党一党支持を続けてきた。高額な医師会費の一部は日本医師連盟に上納され、自民党の政治資金に化けた。自民党の有力な支持団体となっていたことは、日本医師会幹部自身が表明している。来年の参議院選挙も現職の自民党参議院議員を推薦している。
 自民党長期政権が終わりを告げた今、日本医師会中医協委員をはずされたことに対し激しく反発しているのは、日本医師会幹部だけである。全国の医師はむしろ当然のことと受け止め静観している。
 公益法人改革のもと、日本医師会は組織形態の変更を迫られている。このままでは、公益的な立場から活動を続ける団体とは見なされない可能性さえある*1。旧与党にすり寄った活動を続けてきた結果、日本医師会は存亡の危機を迎えるはめになってしまった。