この間開催されてきたバリアフリー法に基づく建築設計標準の改正に関する検討会で、バリアフリー・ユニバーサルデザインに配慮したホテル又は旅館の事例が紹介されている。メモ代わりに、紹介されたホテル・旅館のHPを貼っていく。
<第1回>
資料5 事例紹介には、以下の3事例が紹介されている。
事例1 日本青年館ホテル(新築)
・ワンフロア全てを車椅子使用者の利用にも配慮した客室とした都心型シティホテル
・車椅子使用者のニーズ対応に配慮した、複数タイプ(広さ、水廻り)の客室の提供
・ブラウンを基調とした、シンプルで洗練されたデザインのユニバーサルルーム
10階はユニバーサルフロア(車椅子使用者の利 用にも配慮した客室階、客室数:29室)として計画されている。
事例2 ザ・プリンスギャラリー 東京紀尾井町(新築)
・総客室数 250 室のうち、ユニバーサルルーム(車椅子使用者用客室)5 室、高齢者、障害者等の利用にも配慮した一般客室 223 室を備えたラグジュアリーホテル
・インテリアの一部となるガラス張りの水廻り、白を基調とし洗練された室内デザインのユニバーサルルーム
・すっきりとした印象の片持ち天板のデスク、洗練された手すりや金物等、デザイン性と利用者への配慮の両立
事例3 ホテル はつはな(改修)
・複数回にわたる改修により、客室および共用部のバリアフリー化を図った和風ホテル
・「ビューバス付き」と「ひのき風呂付き」、あたたかみのあるデザインのユ ニバーサルスタイルの客室(車椅子使用者用客室)の提供
<第2回>
資料3 事例紹介には、以下の4事例が紹介されている。
事例5 ホテルグランヴィア京都(新築+改修)
・京都駅に直結した観光・ビジネスの拠点となるシティホテル
・竣工時より車椅子使用者の利用に配慮した、ゆとりある共用部空間、車椅使用者用客室(6 室)を提供 ・ハード面とソフト面(貸し出し、有資格者の配置等)を兼ね備えた「ユニバーサルサービス」の充実
事例6 RAKURO 京都 -THE SHARE HOTELS-(用途変更+全面改修)
・既存事務所ビルからの用途変更に伴い、全面改修が行われたホテル
・車椅子使用者用客室前の廊下に傾斜路を設けることにより、客室内の床をフラット化
・車椅子使用者用客室の水廻りは、洗い場と浴槽のある浴室タイプ(浴室と、トイレ・洗面が分離)
事例7 LYURO 東京清澄 -THE SHARE HOTELS-(用途変更+全面改修)
・既存事務所ビルからの用途変更に伴い、全面改修が行われた、ドミトリータイプの客室があるホテル
・客室フロアの共用部に、車椅子使用者対応の共用シャワールーム(1 室)を 設置
<第3回>
資料2 事例紹介には、以下の4事例が紹介されている。
事例8 ダイワロイネットホテル銀座(新築)
・都心でのビジネス・観光の拠点として、間口 13m×奥行 100m の敷地を 活かしたビジネスホテル
・洗練され、落ち着きのあるデザインのアクセシブルルーム(車椅子使用者用客室)を提供
・点字や英語によるサイン表示等の情報提供の充実
事例11さぎの湯荘(用途変更+移築改修) 2月上旬
訪問調査は2月上旬とのことで、具体的内容は紹介されていない。HPのよくあるご質問には、次のような記載がされている。
Q.バリアフリーですか?
A.当館は玄関や部屋又は大浴場入り口などには段差があるので全面バリアフリーではございません。貸切の内風呂には段差なく入れるようになっております。部屋は1階と2階しかありませんが、エレベーターがございません。足などが不自由の方は1階の部屋をご用意しますので、ご予約頂く時にその旨をお伝え下さい。館内用車イスと簡易ベットもご用意は可能ですので希望されるお客様は事前にお知らせください。
ひととおり、それぞれのHPをざっと見た印象だが、バリアフリーないしユニバーサルデザインに対応していることはあまり強調されていない。車椅子対応客室を探している立場で見ると、「見える化」は不十分と言える。全国バリアフリー旅行情報/日本バリアフリー観光推進機構のようなサイトもあるが、情報収集はなかなか大変である。
ホテル又は旅館における高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準(追補版)が実際に運用され数年経ったあかつきには、新築を中心にバリアフリー対応の宿泊施設は増えると予想するが、それまでの間は口コミに頼るしかない。その意味で、今回検討委員会で紹介された事例は優良事例として保障付きのところと言えそうである。