相次ぐミニカップ入りこんにゃくゼリー訴訟は、同製品の販売中止を最終目的としていると私は考えている。
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2008年9月5日、ミニカップ入りこんにゃくゼリー窒息事故に関する和解が成立した。被告企業であったエースベーカリーがホームページで次のような報告をしている。
平成20年9月5日
各位
株式会社エースベーカリー
「ちぎりたて果熟園蒟蒻ゼリー」事故訴訟和解成立について
(中略)
さて、平成19年3月23日発生しました弊社商品「ちぎりたて果熟園蒟蒻ゼリー」の事故に関しましては、同年6月15日より損害賠償請求事件として、名古屋地方裁判所に係属しておりましたところ、同裁判所に於いて、本日円満に和解が成立しました。
(中略)
なお、被害者のご遺族との間に成立しました、和解調書の中で下記の通り定められておりますので、各位におかれましては消費者の皆様のために是非ともご協力賜りますよう重ね重ねお願い申し上げます。
おわりにあたり、各位の益々のご繁栄とご発展をお祈り申し上げます。
謹白
記
1 事故当該商品の「ちぎりたて果熟園蒟蒻ゼリー」は昨年6月直ちに製造販売を中止しました。
2 弊社は、「ソフトこんにゃくゼリー」の硬さ・弾力性等を弊社ホームページで公表することになっております。
3 万が一、弊社が現在製造販売しております「ソフトこんにゃくゼリー」と同種の他社の製品に事故が発生した場合には、弊社は「ソフトこんにゃくゼリー」の製造販売を中止することになっております。
4 消費者の皆様への注意喚起を促す為に、弊社は「ソフトこんにゃくゼリー」を取り扱っていただく小売企業様には、売場への注意書きを置いて下さいますよう、併せてお子様向け菓子の売場と隔離して下さいますようご協力をお願いすることになっております。
以上
第1項は、該当商品販売中止の確認である。さらに、第3項では、別の商品も同種の他社製品に事故が発生した時点で販売中止とするという厳しい内容である。事実、http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/crime/182964をみると、新たなこんにゃくゼリーによる事故が起こった直後の2008年9月30日に、弁護士が「商品の製造と販売中止を申し入れ」ている。弁護士によると、遺族は「事故を防ぐため、すべてのメーカーにこんにゃくゼリーの製造販売を禁止してほしい」とコメントしている。そして、2009年3月時点で、エースベーカリーの商品ラインナップからは「ソフトこんにゃくゼリー」が消えている。
ミニカップ入りこんにゃくゼリー規制に関しては、危険な商品と考え販売中止を求める立場と、ミニカップ入りこんにゃくゼリー狙い撃ちに反発する立場との間に対立がある。前者の立場に立つ弁護士は、PL法を根拠とした訴訟を起こし、判例ないし和解の実績を積み重ねることにより、実質的にミニカップ入りこんにゃくゼリーを販売中止に追い込もうという戦略を描いている。
乳幼児や要介護高齢者のような窒息ハイリスク群では、食品の属性を把握し、窒息事故を避ける努力が保護者、介助者側にも求められる。ミニカップ入りこんにゃくゼリーに目を奪われていると、他の危険な食品による窒息事故予防対策がおろそかになる。窒息事故の全責任をメーカーに負わせても、問題は解決しない。