後期高齢者終末期相談支援料だけでなく、制度そのものの廃止が必要

 朝日新聞終末期治療の「相談支援料」に廃止論 後期高齢者医療より。

終末期治療の「相談支援料」に廃止論 後期高齢者医療
2008年05月16日01時26分


 後期高齢者医療制度で、患者と家族と医師らが終末期の治療方針を話し合い、書面にした場合に支払われる診療報酬「終末期相談支援料」に批判が強まっている。「延命治療にかかる費用を抑制するのが目的」という野党の主張に、与党内からも廃止を求める声が上がり、見直しは避けられない情勢だ。


 15日の参院厚生労働委員会で、制度の問題点を指摘された舛添厚労相は「(支援料は)意図はたとえ善意でも、結果としてむしろ終末期医療を後退させる危険性がある。実情をしっかり調査して改革する」と答弁した。


 自民党厚労族の有力議員、丹羽雄哉元厚相も同日朝、民放のテレビ番組で「国民感情を著しく害したなら廃止したって構わない」と発言。厚労省の「終末期医療で、患者の意思を確認するため地道で手間のかかる取り組みをしている医師を下支えするための仕組み」(同省幹部)との主張は、かき消されがちだ。


 支援料制は、回復が難しい患者本人に、医師が今後予想される病状を説明し、病状が急変した時に病院に搬送するか、人工呼吸器を使うか、などの希望を聞く。入院患者の場合、説明に1時間以上かけることが条件で、医療機関に支払われる診療報酬は2千円。「医師が割に合わない報酬を稼ぐため、患者に終末期の意思決定を迫ることはあり得ない」と同省幹部は言う。


 だが、同省職員による新制度の解説本には「家族が1時間でも1分でも生かしてと要望し、色々な治療がかさむと500万、1千万円になる」との記述がある。民主党はこれを引用し、「支援料は医療費抑制のためのもの」と批判を展開している。


 終末期医療の診療報酬については、厚労省の審議会や中央社会保険医療協議会中医協)で06年秋から検討してきたが、支援料には「非常に微妙な問題。事後の検証が必要」との意見が委員から出ていた。同省の別の幹部も「最初に意思確認の仕組みだけを決め、何年か様子をみて診療報酬をつける方法もあった。先走り過ぎたかもしれない」と話す。


 来週開催する中医協では急きょ、相談料の問題を取り上げる予定だ。厚労省は「結論は出さない」としているが、議論の行方次第では廃止の可能性も現実味を帯びてきた。


 後期高齢者医療制度そのものが、「医療費適正化」を目論んで作成された。終末期相談支援料もその一環として捉えられる。枝葉末節の改定ではなく、制度そのものの廃止が必要である。