季節性インフルエンザの不気味な増加

 季節性インフルエンザの定点あたり報告数が増えている。

2009年 第21週 (5月18日〜5月24日) 2009年5月27日現在


<コメント>
 2009年第21週のインフルエンザの全国レベルでの定点当たり報告数は、1.25(報告数5,870)となり、先週より若干増加している。地域的には、23道県で、定点当たり1.0以上の報告がある。定点あたり2.0以上の報告があるのは、高いところから、沖縄県(10.7)、秋田県(4.2)、北海道(3.9)、鹿児島県(2.4)、長野県(2.2)、福井県(2.1)の順となっている。第20週から第21週にかけて31の都道府県で程度の差があれ、定点あたり報告数の増加が認められている。これらを反映して、警報レベルを超えている保健所地域は1箇所(1県)と減少したが、注意報レベルのみを超えている保健所地域は10箇所(6道県)と増加している。


 2008年第36週以降第21週までに、インフルエンザウイルスの検出はAH1(Aソ連)型3,493件(全体の49.8%)、AH3(A香港)型1,808件(全体の25.8%)、B型1,714件(全体の24.4%)が報告されている。尚、新型A/H1N1vは第21週までに24件の報告があり、これは全体の0.34%にあたるが、季節性インフルエンザの病原体サーベイランスとしてランダムにサンプリングされたものではなく、新型インフルエンザの診断のため検査されたものであり、このウイルスが季節性インフルエンザ全体の中に潜行していることを示すものではない。また、全体の検出数も新型インフルエンザの鑑別診断のために提出されたものが含まれており、全体の数を押し上げる結果となっている。しかしながら、新型A/H1N1vのくすぶり流行を考慮する上では、病原体サーベイランスを強化することは必要不可欠である。

https://hasseidoko.mhlw.go.jp/Hasseidoko/Levelmap/flu/2008_2009/2009_21/jmap.html


 国立感染症研究所の表現は微妙なものとなっている。報告数が増えたのは、新型インフルエンザの鑑別診断のために提出された検体数が増加したからであると主張している。その一方、「くすぶり型」流行という表現を用い、新型インフルエンザが水面下で流行している可能性も示唆している。
 例年、季節性インフルエンザは5月中には報告されなくなる。今回のような増加は異例である。新型インフルエンザの蔓延状況をチェックする意味で、本サーベイランスが重要な意味を持つことは間違いない。