新型インフルエンザに対し、診療所を巻き込んだ対策検討開始
新型インフルエンザに対し、宮城県と県医師会が診療所を巻き込んだ対策を検討している。
新型インフルエンザの対応を協議している宮城県と県医師会は、世界的大流行(パンデミック)に発展した場合、軽症者の診療は診療所が担当し、重症者は病院へ送る仙台市の方式を採用する方向で検討に入る。県内で感染が拡大し、大流行した際は、特定の病院だけの対応では機能不全になる恐れがあると判断し、かかりつけ医など地域の診療所の協力をあおぐことにした。
県医師会は18日、新型インフルエンザ対策委員会を開き、実施に向けて協議する。
強毒性を想定した国の新型インフルエンザ対策ガイドラインでは、特定の病院などに設置された発熱外来が最初に患者を診断する。今回のウイルスは弱毒性とみられ、県などは一般の診療所でも診察が可能と判断した。
仙台市が策定したメディカル・アクションプログラムでは、診療所がいったん患者を引き受け、軽症者の診療を担当し、入院が必要な重症者は病院に送る方針を定めた。市医師会の協力で内科、小児科、耳鼻科の計約600カ所に協力を呼び掛け、診療所の登録作業を進めている。
県保健福祉部は「診療所の協力がなければ、パンデミックとなった場合の対応は難しい。仙台の方法が県全体でも実施できないかどうか、市と連携しながら検討したい」と話している。
http://www.kahoku.co.jp/news/2009/05/20090515t13032.htm
宮城県医師会の積極的な対策に共感する。もはや、新型インフルエンザ封じ込めの段階は過ぎている。一部の医療機関に負担を強いるのではなく、それぞれの機能に応じた役割分担をしていくことが重要となる。問題は、手上げをする医療機関が少ないのではないかという疑心暗鬼が生じることである。
国内での新型インフルエンザ流行を想定し、県が全病院に対し発熱外来を設置できるかどうかを聞いた調査で、条件付きを含めて31病院が協力を申し出たことが14日、分かった。県は必要に応じて協力病院に診療態勢の整備を求め、感染拡大に対応する。
県内140病院のうち、発熱外来設置に協力できると回答したのは4施設で、条件付き協力は27施設だった。
http://www.kahoku.co.jp/news/2009/05/20090515t13032.htm
アンケートの結果からみると、協力をすると答えたのは、条件付きのところを含め、ごく一部にとどまっている。
新型インフルエンザ対策は、今年の冬場が本番である。それまでに、宮城県や県医師会の調整機能が発揮され、迎撃態勢を整えることができるかどうかが課題となっている。