厚労省、要介護認定に関する報道をこっそり否定
三重県|高齢者福祉・介護保険:介護保険最新情報(厚生労働省通知)内にある、「要介護認定に関する報道について」(平成21年3月17日)介護保険最新情報VOL67より。
先般来、当方の説明が十分とは言えず、要介護認定に関する報道においてご心配をおかけしているところです。
そうした中、3月17日朝に、「認定調査方法について見直す」との報道がありました。本件については、要介護認定の見直しの基本方針を変更するのではなく、テキストにおける認定調査項目の選択肢の選び方について、誤解が生じかねないとのご意見が利用者等から寄せられており、そうした声を受けて、解釈の明確化を行うこととしております。
例えば、
- 「移乗」について、寝たきりである者が車いす等への移乗がない場合は「自立(介助なし)」とされるおそれがあったが、寝たきりの方に褥瘡防止のための体位交換やシーツ交換で介助が行われていれば「全介助」を選択する、
- 買い物について「買い物の適切さについては問わない」とされており、認知症の者が「買い物ができる」と判定されかねないとの疑念について、きちんと買い物ができていないため後で家族が品物やお金を返しに行くといった介助が行われている場合には「一部介助」を選択する、
など通知において具体例をお示しする予定です。
今後のスケジュールとしましては、
「寝返り」の介助をしていれば「移乗」も介助されているとみなすことになった。そもそも、「移乗」と「寝返り」は異なった概念である。批判を浴びて苦し紛れに持ち出した理屈であることが一目瞭然である。
「買い物」の説明にも問題がある。悪質業者でだまされ高価な物品を繰り返し行い、クレジット会社から連絡が来て初めて家族が気がつくという事例の場合、「一定期間(調査日より概ね過去1週間)の状況において、より頻回に見られる状況や日頃の状況で選択する。」という規定には当てはまらない。そもそも、生活機能障害を「より頻回に見られる」という基準で評価することには問題がある。FIMなど代表的なADL評価では、変動がある場合には「より低いレベル」の方を評価するというルールになっている。
今回の要介護認定制度改定は要介護度をできる限り低く抑えるために行われた。利用者サイドからの強い批判を浴び、開始直前になっても運用が定まらず、立ち往生しかねない緊急事態となっている。