新医師臨床研修制度の見直し案提示される

 医師の卒後研修制度が大きく変更されそうである。

 厚生労働省文部科学省の「臨床研修制度のあり方等に関する検討会」(座長=高久史麿・自治医科大学長)は2月2日、第5回会合を開き、報告書のたたき台となる新医師臨床研修制度の見直し案を事務局が提示した。それによると、研修1年目は内科と救急を必修診療科とし、2年目には地域の病院や診療所での「地域医療研修」を義務付ける。焦点となっていた研修期間については、2年制を維持する方向性が示された。


(中略)


 見直しの方向性について、研修1年目は、内科(6か月以上)と小児救急を含む救急(3か月以上)を必修とし、プライマリー・ケアの習得を目指す。外科や麻酔科、産婦人科など、他の診療科については選択制とし、各病院の判断で、個々のキャリアパスに応じた研修を早期に実施する。
 2年目には、地域の第一線の病院、診療所で研修を行う「地域医療研修」(1か月以上)を必修とする。小児科や産婦人科など、医師不足が著しい診療科については、一定規模以上の病院に対し、将来これら診療科を担う研修医を対象としたプログラムの作成を課している。


 受け入れ病院の募集基準では、研修希望者に見合った募集定員を定める一方、都道府県別の配分の適正化を図るため、人口や地理的条件などの観点から、募集定員に上限を新設する。また、研修医の給与などについては、「研修制度の趣旨を逸脱するような事例については、一定の抑制措置を講ずる」としている。

http://www.cabrain.net/news/article/newsId/20417.html

医師不足解消へ戦力確保 厚労省など見直し案


 厚生労働省文部科学省は2日、医師の臨床研修制度の見直し案の骨子を公表した。必修科目を7から3に減らし、将来専門にしたい科目の研修を、いまより半年長く受けられるよう見直す。専門分野に精通した医師の早期養成が狙い。病院にとっては研修医を現場の戦力として活用できる。都道府県ごとに研修医の定員に上限を設けて、医師数の地域偏在の是正もめざすが、実効性には課題も多い。
 見直し案は「臨床研修制度のあり方等に関する検討会」に示した。月内にまとめ2010年度実施を目指す。研修期間はいまの2年間を維持しつつ研修内容を弾力化。医療現場で働ける若手医師の数確保を優先する。
 いまは2年間で様々な基本診療科目を最低1カ月ずつ経験する。ただ専門技能の蓄積と関係ない科目もあり、研修医の意欲をそぐとの指摘は多い。このため7つの必修科目を内科、救急、地域医療に限定する。一方で、将来専門にしたい科目で研修する期間を、これまでの最長8カ月から、14カ月に増やす。(02日 22:52)

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 研修1年目に回る内科(6か月以上)と小児救急を含む救急(3か月以上)、2年目に行う地域医療研修(1か月以上)以外の14ヶ月間を1つの診療科に所属して行うことが可能となる。研修1年目の後半から実質的にストレート研修とすることもできる。
 臨床研修制度が「医療崩壊」の原因となったと主張される。しかし、真に問題なのは医療費抑制、医師数抑制である。今回の改訂案は小手先の改革としか思えない。臨床現場に一層の混乱をもたらすことになるのではないかと危惧する。