短時間通所リハビリテーションの創設、ほぼ確定
読売新聞、介護保険で提供するリハビリを強化より。
介護保険で提供するリハビリを強化
厚労省方針 短時間通所など創設
厚生労働省は29日、来年度の介護報酬改定で、介護保険で提供するリハビリテーションの内容を強化する方針を決めた。
短時間・集中型の通所サービスを創設し、個別リハビリも増やすことなどで、医療機関での機能回復訓練を終えた人の受け皿を充実させる。30日の社会保障審議会介護給付費分科会で基本的な方針を示す予定。
高齢者のリハビリは原則、発症直後の急性期と治療後の回復期は医療保険、状態が安定した維持期は介護保険で提供されている。しかし、医療機関に比べ、介護保険の通所リハビリは事業所数が少ないうえ、内容も、長時間滞在し、食事やレクリエーションも行いながら、集団で実施されることが多い。このため、介護保険でのリハビリを敬遠する高齢者もいることから、維持期リハビリの一部は現在、医療機関で医療保険を使って行われている。
来年度の報酬改定では、リハビリだけを1、2時間集中して行うサービスを創設するほか、退院直後に介護保険のリハビリを使い始めた人などに対し、現在も行われている個別の機能回復訓練を手厚くする。また、医療保険を使って病院で訓練を受けている高齢者が、同じ病院で継続して訓練を介護保険でも受けられるよう、通所リハビリの指定基準や要件を見直す方針。
(2008年10月30日 読売新聞)
以前、日本リハビリテーション病院・施設協会の介護報酬改定要望事項(2008年10月6日)や、「高齢者リハの現状、06年改定の要点、その後の課題」(2008年10月8日)というエントリーで、短時間型通所リハビリテーション創設の可能性が高いと指摘した。予想どおりの展開となっている。後者のエントリーで主張したことを再掲する。
本図で示唆されているように、介護保険における短時間通所リハビリテーションの創設とは、疾患別リハビリテーション標準算定日数上限対策である。06年改定では、疾患別リハビリテーション料標準算定日数超えでも13単位まではリハビリテーションを実施できる仕組みが作られた。しかし、次回、2010年診療改定では標準算定日数超えは認められず、介護保険サービスで対応することになるのではないか。
(中略)
私は、介護保険における短時間通所リハビリテーションの創設に関しては、基本的には賛成である。確かに、長時間の通所リハビリテーションを望まず、短時間サービスを望む方はいる。しかし、その見返りとして、医療保険の維持期リハビリテーションに関する規定を廃止することには断固反対である。
現在は、介護保険の通所リハビリテーション・訪問リハビリテーションを利用したとたんに、医療保険のリハビリテーションを利用できなくなっている(参照:介護保険リハ開始後医療保険リハ利用禁止規定)。利用者の特質にあわせ、適切な維持期リハビリテーションサービスを選択できず、厚労省通知でがんじがらめにされている。
医療費・介護費用削減を何よりも優先するという現在の政策の流れが変わらない限り、次回介護報酬改定で維持期リハビリテーションが充実するという幻想は抱くことができない。患者・利用者が選択できないような仕組みが続くのなら、国の重点施策「介護予防(要介護度悪化防止)」の達成は到底不可能ではある。