混合診療解禁要求は儲け優先

 昨日の講演に刺激を受け、混合診療問題に関する話題をとりあげる。
 CBニュース(2007年12月7日)、「混合診療解禁要求は儲け優先」西島議員が異議という記事が配信された。詳細な論戦内容が、[西島英利:委員会質問実績]にある。引用する。

西島英利君 この混合診療につきましては、平成十六年の九月に小泉総理、当時の総理が混合診療の全面解禁に向けて検討していくという所信表明をなさいました。それに伴いまして、厚生労働省の方でも様々な議論が行われたわけでございます。
 そして、国会の方でもこれに対しての考え方を、いろんな形でこの厚生労働委員会でも議論をさせていただきました。また、請願がございました。その内容、要旨は、保険診療と保険外自費診療を併用する混合診療の導入は、患者の負担を大幅に増やし、国民医療の不平等を引き起こし、国民皆保険制度を破壊する、ついては、だれもが安心して良い医療を平等に受けられる国民皆保険制度を今後とも堅持されたいという内容でございまして、これは平成十六年の十二月の三日に参議院本会議で採択をされたところでございます。そして、内閣に送付されたということでございます。


(中略)


 実はこういう文章があるんですね。これは二〇〇二年の一月二十六日の週刊東洋経済というので、当時の、当時は総合規制改革会議と言っていましたけれども、このときの議長の宮内さんがこの中でこういう言い方をされているんです。
 国民の医療費をGDPの七%に抑えるというのはとんでもないと。一〇%でも何でもよいと思います。国民がもっと様々な医療を受けたければ、健康保険はここまでですよと、あとは自分でお払いくださいという形ですと。金持ち優遇だと批判されますが、金持ちでなくても、高度医療を受けたければ家を売ってでも受けるという選択をする人もいるでしょうと。それを医師会が止めるというのはおかしいです。医療サービス、病院経営には民間人の知恵を入れるべきでしょう。企業が病院を経営してもよい。利潤動機の株式会社に人の命を預かる医療を担わせるとは何事かと言われているわけですが、はははと笑っていると。
 こういうようなことを、実はこの方が当時は総合規制改革会議の議長なんですよ。つまりもうけ話な話ですね。
 昔は、本当にこの国民皆保険制度がないときは、病気になられてお金がない、でも薬が必要だというときには、まさしく自分の娘を売ってでも薬を得たというようなことが、実はそういう時代もあったわけですね。だから、そういうふうにならないようにということで、この混合診療に関してはかなりの規制が掛かっているというふうに私は思っているんですね。


(中略)


 そういう中で、じゃ次の質問を実はさせていただきたいんですが、今、規制改革推進室へ要するに行政職の方以外から出向者がたくさん出ておられます。どういう企業の方から出ておられるかということをお教えいただきたいと思います。


○政府参考人小島愛之助君) お答え申し上げます。
 規制改革会議の事務局でございます規制改革推進室の室員は現在、総勢三十二名であり、このうち、国家機関以外からの非常勤の国家公務員として採用されている者は十七名でございます。国家機関以外からの採用者の出向元の業種につきましては、製造業、金融業等多岐にわたっているところでございます。


西島英利君 私は、今簡単におっしゃいましたけれども、ここにリストがございます。読ませていただきますと、日本郵船が二名、これは今の議長のところですね。それから、関西経済団体連合会一名、その他は全部一名なんですが、キヤノン国民生活金融公庫、JFEスチール、信金中金新日本石油帝人ファーマ、東京海上日動火災保険トヨタ自動車日本経団連日本生命松下電器産業三井住友海上三菱東京UFJ銀行、森ビルからこれだけ、一名ずつ出ておられる。金融関係が多いですよね。それから、生命保険会社からも出ておられます。まさしく、この混合診療の議論の中で民間医療保険を大々的に売り出して、空前の実は実績を上げたわけですね。ですから、まさしくここで議論される内容、これは医療の内容を議論しているのではなくて、まさしくそれで困っておられる方々、患者さんたちを救済するために議論をなさっているんじゃなくて、いかにもうかるかということの議論でしか私はないのではないかというふうに思わざるを得ないんですね。
 実は、私が日本医師会の常任理事のときに、実はこの総合規制改革会議からヒアリングに呼ばれました。そして、そこでいろんな議論をしたんですが、その後の、終わった後の宮内議長の記者会見でこういうことを言っておられます。いや、この医療産業というのは百兆円の産業になるんだと、こんな百兆円の産業になるのにどうして医師会の先生方は反対するのかと。でも、私はそのとき思ったんですね。じゃ、その百兆円を一体だれが出すんですかと。国民が出すんですよ。利用者が出さざるを得ないんですね。そういう議論の中で実は混合診療の全面解禁はずっとやられてきている。だから、ああいう形で、当時の尾辻大臣は大変な御苦労をされて、大激論を交わした中で、実は当時の内閣府の担当大臣、村上大臣でございましたけれども、と覚書を交わされて混合診療の考え方が整理されたというふうに私自身は思っております。それがまた、同じようなことをまた繰り返そうとされている。まだ今実績を積み重ねているところなんですよ。


(中略)


西島英利君 つまり、この混合診療の全面解禁という形の中で国民の不安をあおって、そして国民はもう我もという形でこの医療保険を購入したわけですね。そして、これからどんどんどんどん自己負担分が増えていきますから、将来の安全のため、安心のためにどうぞお買いくださいという形で、だから空前の売上げを上げている。ところが、一方では支払の段階になったら様々な理由を付けて支払わなかったと。これが実態なんですよ。
 ですから、今まさしく、先ほど申し上げたこの規制改革推進室への国家機関以外からの出向者、先ほど申し上げたように、まさしくこの医療保険を販売している会社の方々が入っていらっしゃるわけです、たくさん。じゃ、この方々は今回の混合診療の議論に全く関係してないのか。そうじゃないはずですよ。ですから、本当にそういう状況の中で、ただただ一つのきっかけだからということでまた再燃をしていいのかどうかということを私は非常に怒りを持っているところでもございます。


 昨日の李啓充先生や太田昭人先生の講演を聞いた後、国会論戦を読むと、総合規制改革会議の目的が明瞭となってくる。国民医療費を削減しようという考えは全くなく、儲けのための仕組みを作りたいだけである。
 2004年に起こったプロ野球球団再編問題、および、総合規制改革会議での言動を見聞きする限り、オリックス宮内義彦氏は金の亡者としか言いようがない。企業人としての社会的使命など全くない。公共財であるスポーツや医療を私の利益のために亡ぼしても構わないと考えている。