後期高齢者医療制度 保険料 国保より上がる

 後期高齢者医療制度では、保険料は国保より下がる人が多いと政府・与党は宣伝してきた。実態は次のとおり。赤旗後期高齢者医療制度 保険料 国保より上がる 小池議員、独自調査示し追及 下がる根拠なし厚労相が認める、より。

後期高齢者医療制度 保険料 国保より上がる 小池議員、独自調査示し追及 下がる根拠なし厚労相が認める


 天引きが十五日に始まった後期高齢者医療制度の保険料が、多くの自治体で国民健康保険料より高くなっている--。日本共産党小池晃議員は十七日の参院厚生労働委員会で、独自調査結果を示し具体的に追及しました。舛添要一厚労相は「七-八割の人は保険料が下がる」という自身の発言について説明できなくなり、「正確なところは分からない」と根拠のないことを認めました。


 小池氏の調査は、厚労省の試算に基づいて全国の市区を対象に保険料を算出(別表)。夫が年金月額十六万七千円、妻が基礎年金六万六千円のみの世帯の場合、三千円以上の負担増となるのが川崎市など四市、二千円以上が十六市区、千円以上が五十八市区です。


 負担増となる自治体のうち、上位百市区だけで全人口の四分の一をカバーしています。


 小池氏はさらに、厚労省の「保険料が安くなる」という試算は、土地や家屋など資産をもつ人だけにかかる「資産割」を含んだ高い国保料が「全国平均モデル」という架空の前提でおこなっていると指摘。「資産割」のかかる世帯がすべての国保世帯の三割以下にすぎないことをあげ、資産割のかからない夫婦世帯を厚労省のモデル試算にあてはめると、逆に国保料よりも負担増になる事実を数字で示しました。


 厚労省の水田邦雄保険局長は「(小池氏の)数字の通り」と認めました。


 小池氏は、「保険料が下がるなどというのはミスリード。国民に正直に説明すべきだ」と批判。小池氏の質問の直前に、自民党議員も制度を理解できない議員が多いと質問したことをあげ、「与党議員も理解できないような制度なら、いったんやめて最初から考え直すのが政府の責任だ」と求めました。

 ホームページに載っている資料をみると、一目瞭然である。後期高齢者の急増に伴い、保険料は増える。一方、年金給付は頭打ちとなる。開始当初から、破綻が見えている。


 続いて、時事、保険料負担減の割合「推計せず」=後期高齢者医療制度で−政府答弁書、より。

2008/04/18-12:42


保険料負担減の割合「推計せず」=後期高齢者医療制度で−政府答弁書


 政府は18日の閣議で、75歳以上の後期高齢者医療制度長寿医療制度)で保険料負担が下がる人の割合について、「推計は行っていない」とする答弁書を決定した。民主党山井和則衆院議員から質問主意書が出ていた。これまで加入していた国民健康保険などと比較した保険料の増減をめぐっては、舛添要一厚生労働相が15日の閣僚懇談会で7、8割の人は保険料が下がるとの趣旨の発言をしていた。
 厚労省は、約8割の自治体が採用している国保料の算定方式により全国平均で比較した場合、後期高齢者医療保険料は基礎年金受給者や平均的な厚生年金受給者らで下がるとの試算をまとめている。同相は15日夜、記者団に「(閣僚懇では)正確な数字は分からないが、(試算からすると)7割とか8割ぐらいになるんじゃないか、という程度を申し上げた」と説明した。


 つい数日前、4月15日には、厚労省はこのように述べていた。時事、夫婦の保険料、月1200円減=基礎年金受給の後期高齢者世帯−厚労省より。

2008/04/15-13:49


夫婦の保険料、月1200円減=基礎年金受給の後期高齢者世帯−厚労省


 厚生労働省は15日、今月スタートした後期高齢者医療制度長寿医療制度)で75歳以上が負担する保険料と、3月まで加入していた国民健康保険国保)で負担していた保険料との比較を明らかにした。国保から新制度に移行することで、夫婦ともに月額6万6000円の基礎年金を受給している世帯では、保険料の負担額が月額3300円から1200円減り2100円になる。夫が月額16万7000円の平均的な厚生年金を受給、妻が基礎年金を受けている世帯では、9200円から8600円に下がるとしている。


 根拠のない数字を述べ、その場限りの辻褄合わせをするような態度は、かえって、高齢者の怒りを呼び起こす結果となる。