青森市医師会・弘前市医師会も「後期高齢者診療料を算定しない」ことを呼びかける

 赤旗後期高齢者医療は「うば捨て山」 青森市医師会が批判 会員に文書より。

2008年3月26日(水)「しんぶん赤旗


後期高齢者医療は「うば捨て山」 青森市医師会が批判 会員に文書


 四月実施予定の後期高齢者医療制度について、青森市医師会(齊藤勝会長)は「医療費削減のために日本国民を七十五歳未満と七十五歳以上で差別し」「粗診粗療ですまして、うば捨て山政策を実行」と批判し、「後期高齢者診療料を算定しない」ことを呼び掛ける文書を、二十五日までに会員に送付しました。


 四月の診療報酬改定で、外来で慢性疾患の七十五歳以上の高齢者を総合的、計画的に診察する開業医(主治医)に対する報酬(後期高齢者診療料)が新たに設けられました。後期高齢者診療料は、医学管理、検査、処置、画像診断をすべて含んで、患者一人につき定額で月六千円。検査や治療をすればするほど医療機関の持ち出しが増えることになります。


 同医師会の文書は「糖尿病、心疾患、がんなどと専門分化している現状を無視して、一人の主治医によって一元管理するのは無理」など問題点をあげています。


 弘前市医師会の動きについて、陸奥新報弘前市医師会が後期高齢者医療の撤廃求め決議より。

2008/3/29 土曜日


弘前市医師会が後期高齢者医療の撤廃求め決議


 4月から実施予定の後期高齢者医療制度について、弘前市医師会(田村瑞穂会長)は、先に開かれた定時総会で「後期高齢者診療料の撤廃を求める決議」を満場一致で採択した。同制度では、75歳以上の高齢者を一人の主治医が診察する「外来主治医制度」が導入され、主治医に定額の後期高齢者診療料が支払われる仕組みだが、市医師会は「医療機関への自由なアクセスを阻害し、医療現場には粗診粗療を強要するもの」と強く反発、国が進める同制度を利用しないよう異例の呼び掛けを行っている。
 外来主治医制度では、主治医に支払われる報酬(後期高齢者診療料)が医学管理や検査、処置、画像診断などをすべて含み、患者一人につき月額6千円と設定されている。原則として患者一人に対し一人の主治医とされており、高齢者が複数の医療機関にかからないようにすることで、国は医療費削減を図る狙いだ。
 75歳以上の後期高齢者については、高血圧や糖尿病、脳血管疾患、がんなどを一人の主治医が一元管理する仕組みとなる。
 この制度に対し、弘前市内の開業医からは「一人の医師が総合的・計画的に診療するというのは聞こえはいいが、(定額制という)中身は詳しく検査するほど病院は赤字になる。きめ細かな診療ができなくなる可能性がある」といった声が上がる。
 また、患者側にとっても「医療が専門分化している中で、自由に医師を選択できる患者の権利を閉ざしてしまう制度」との指摘がある。
 こうした状況の中、市医師会は27日の定時総会で、後期高齢者診療料の撤廃を求めることを満場一致で決議。これに先立って24日には臨時理事会を開き、青森市医師会からの協力要請に応じて、同診療料を算定しないよう会員に呼び掛けている。
 市医師会の今村憲市副会長は「国の政策に同調してきた市医師会にとっては異例の対応だが、患者の権利を守り、粗診粗療を防ぎたい。将来的な制度拡大を懸念し、今後の医療の在り方を考えた上での対応となった」と話している。
 この制度については、県内の医療関係者から反発の声が相次いでおり、青森市医師会は21日付で同診療料を算定しないよう呼び掛ける文書を会員に発送している。


 青森保険医協会は、これからの高齢者医療を考えるページが運営している。後期高齢者医療制度に関する資料が豊富である。


 本州北端の地は、後期高齢者医療制度ボイコット一色に染まりつつある。