宮崎市郡医師会における後期高齢者診療料への対応

 宮崎市郡医師会のブログで、後期高齢者診療料を算定しない運動が紹介されている。新しい風<宮崎市郡医師会のブログ>、後期高齢者診療料に係る問題点より引用する。

 3月28日(金)午後7時より県立芸術劇場にて、宮崎市郡医師会主催の来年度診療報酬改定説明会が開催され、岡田理事、済陽理事がポイントを解説しました(出席者655名)。その中で、後期高齢者診療料算定に係る問題点として済陽理事が下記を指摘しました。当医師会執行部としても、正確な情報を収集しつつ対応を協議中です。
 会員の先生方のご意見をお待ちしております。コメントからアップして下さい。


 A医療機関で患者Cに後期高齢者診療料を算定すると、他のB医療機関を受診した患者Cに対しBでは特定疾患療養管理料などの医学管理料が算定できない
 同様に「その施設で、検査、画像も同様に算定できないとの説明があった」という情報もある(公式文書としては未確認)


【他県の郡市医師会の対応】
 1医療機関後期高齢者診療料を算定すると、他の医療機関の指導管理料は全て算定出来なくなり、医療機関同士のトラブルの原因となると思われる。従来通りの特定疾患療養管理料算定は可能ですので、今回の後期高齢者診療料は当面算定しない。
 医師会員には、「1患者につき1医療機関」という事への反対姿勢として、医師会員相互のつぶし合いを起こさせる「後期高齢者診療料」の施設基準の届出を出さない様にお願いする。
 この後期高齢者診療料を算定する医療機関が出ると、医療機関同士での混乱、不満が起きるということから、当医師会では「後期高齢者診療料を算定しない」という統一行動を広く呼びかけることにした。これまで、構築された診診連携、病診連携を守り抜くためである。
 会員のどなたかが抜け駆けして「後期高齢者診療料」を算定すると、高齢者医療を含めて地域医療全体が崩壊していくことになります。全医師会員一致で「後期高齢者診療料」を算定しないと言う決意が是非とも必要です。
 「後期高齢者診療料」は、一昨年の国保中央会の登録医制導入の提案と軌を一にしていて、最終的に「登録医制=人頭制」を想定したものとなっています。イギリスで導入されて問題となっている人頭制とは、一医療機関に登録した患者さんしか診療できない制度で、「登録した患者の数に応じて診療報酬が支払われる」というものです。現在の日本では患者さんはフリーアクセスでどこでも診療を受けることができますが、人頭制が導入されると患者さんの選択肢は大幅に制限されることになります。


 「他県の郡市医師会の対応」を肯定的に紹介している。さらに、興味あるコメントが掲載されているので、紹介する。

(以下 転載です)


Q:後期高齢者診療料について、A 医療機関後期高齢者診療料の算定をし、B医療機関について「特定疾患療養管理料」の算定は可能か。


A:主病の医療機関のみ。


注:下記の包括範囲その1参照
医学管理や各種管理料全て。慢疼管もはいる。「他院」で後期高齢者診療料をとれば整形外科では慢疼管はとれません。

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医学管理料の包括範囲その1

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5) 当該患者の診療に際して行った第1部医学管理等(区分番号「B009」
診療情報提供料(I)、区分番号「B010」診療情報提供料(II)、区分番号「B017」後期高齢者外来継続指導料及び区分番号「B018」後期高齢者終末期相談支援料を除く。)

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シロホンp174−188すべてです。ただし上記を除く

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他院で同時算定できないもの

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特定疾患療養管理料
ウイルス疾患指導料
小児特定疾患カウンセリング料
小児科療養指導料
てんかん指導料
難病外来指導管理料
皮膚科特定疾患指導管理料
●慢性疼痛疾患管理料
小児悪性腫瘍患者指導管理料
在宅療養指導管理料
心身医学療法
など

 アップされたQ & A に対し、各県の医師会から大ブーイングが起こりました。それで、3月28日に前述の(問57)が厚労省ホームページ上で公開され、これは何と後期高齢者診療料を算定された患者でも、他院において特定疾患療養管理料等が算定可!と解釈されるということです(保険医協会による)。
 そうなると、他院を慮って後期高齢者診療料算定を控えなくてもいいのではと思いがちです。でもこれこそ罠でしょう。600点という点数に誘惑されることなく、その裏に潜む"1患者1主治医"という登録制にNo!を突き付けるべきだと思います。

【問57】後期高齢者診療料の算定に当たっては、施設基準の届出が必要とされるが、当該届出を行っていない保険医療機関においては、後期高齢者である患者の診療に係る費用は従来どおり出来高で算定できるのか。
【答】 後期高齢者診療料の届出はあくまでも保険医療機関の手挙げ方式であり、届出を行っていない保険医療機関においては、算定できない。従来どおり出来高で算定する。


 後期高齢者診療料にひそまされた数々の罠に、宮崎市群医師会のメンバーが的確に反応している。「その裏に潜む"1患者1主治医"という登録制にNo!を突き付けるべき」という意見に同意する。医師が一致し、誰も後期高齢者診療料をとらなければ、制度自体の無意味が明らかになる。