山形県医師会も後期高齢者診療料算定見合わせを呼びかける

 山形新聞の記事、「高齢者担当医」導入見送り 県医師会方針「連携バランス崩れる」より。

「高齢者担当医」導入見送り 県医師会方針「連携バランス崩れる」
2008年04月06日 11:22


 4月からスタートした後期高齢者医療制度で、県医師会(有海躬行会長)は、新たに設けられた「高齢者担当医」を導入しない方針だ。高齢者担当医制は、複数の医療機関にかかることの多い75歳以上の外来患者について、担当医が総合的に診察する制度。県医師会は「医療機関同士の連携バランスが崩れ、患者に良い医療を提供できない」とし、導入見送りを決めている。


 高齢者担当医は、75歳以上の患者について、医療機関や治療が重複しないよう、1人の医師が主な慢性疾患を総合的に診察、管理する。担当医は原則的に、研修を受けた開業医が中心となって務める。担当医を置くかどうかは医療機関が判断し、置いた場合、支払われる診療報酬は包括払い(定額制)となる。


 県内の各市・地区医師会からは、この制度に疑問や不満の声が噴出。「患者がかかる医療機関が限定されるため、診療所間で『患者の囲い込み』が起きかねない」「病院・診療所間の連携が崩れる」「患者がこれまでの継続的な診察、指導を受けられなくなる」といった声を受け、県医師会は3月中旬の理事会で、導入を見送る考えを決定。会員に文書で通知した。


 担当医制は、診療報酬の定額制や受診の制限による医療費抑制を狙ったものだとして、全国で同様の反対論が起きている。有海会長は「さまざまな疾病を抱える高齢者医療は、医師それぞれの専門分野を生かしながら連携するべきだ。高齢者担当医は制度にあいまいな部分が多く、様子を見たい」と話している。


 有海躬行山形県医師会長は、文書で医師会員に次のように呼びかけている。一部を引用する。

 山形県医師会としては、各医療機関にこの「後期高齢者診療料」の算定を見合わせるよう呼びかけることにしました。

 即ち、これまでは2種類以上の慢性疾患を持つ患者を2ヶ所以上の診療所が分担して診療すれば、それぞれの医療機関特定疾患療養管理料などを算定することができましたがひとつの医療機関が「後期高齢者診療料」を算定すれば他院では再診料と投薬くらいしか算定できなくなります。これは医療連携(特に開業医同士の連携)を阻害する制度ともいえます。


 一方、誰も「後期高齢者診療料」を算定しなければ、各医療機関は従来通りの診療が可能です。


 以上、今回の「後期高齢者診療料」を当面算定しないことを各医療機関にお願いする次第です。


 茨城県医師会と全く同じ流れである。「後期高齢者診療料」ボイコット運動が県医師会レベルで広がり始めている。