中医協再開(共同通信の記事より)

 中医協が再開された。m3.comに共同通信の記事が配信されたので、紹介する。

診療所再診料下げを提示 厚労省、病院勤務医に配慮 後期高齢者に「担当医」 中医協に改定方針案 <1>


記事:共同通信社
提供:共同通信社

【2008年1月16日】


 厚生労働省は16日、診療所の再診料(現行710円)の引き下げなどを盛り込んだ2008年度診療報酬改定の方針案を、中央社会保険医療協議会中医協)に提示した。具体的な下げ幅は明示せず、中医協で議論して決める。病院勤務医の負担軽減が目的で、引き下げにより浮いた財源を主に病院の産科、小児科、救急に手厚く配分する。


 診療報酬の改定率は昨年末に決定済み。医師の技術料などの「本体部分」の引き上げ幅が0・38%にとどまったことから、病院の再診料(現行570円)は据え置く。


 この日は日本医師会の委員が「引き下げには絶対反対」と表明。再診料をめぐる結論は次回以降に持ち越した。


 再診料については、診療所より安い病院に患者が集中、勤務医の多くが疲弊して病院を辞め、開業医に転身、勤務医不足を招いたとの指摘がある。


 また方針案では、75歳以上が対象の後期高齢者医療制度が4月に始まるのを控え、75歳以上の患者について、主な慢性疾患に関する主治医の立場にあり、診療計画を作成するなどの研修を受け、全身的な病状管理を受け持つ医師を「高齢者担当医(仮称)」と新たに規定。


 担当医は原則的に診療所の開業医で、周囲に診療所がない場合は病院勤務医も認める。


 高齢者担当医は、患者の過去の病歴や服薬歴、福祉・介護サービスの利用状況などを初診時に詳しく把握する必要があるとして、75歳以上の患者については初診料(現行2700円)を引き上げる。


 一方で、再診時は継続的な指導・管理が診療の中心になることから、再診料は74歳以下の患者とは別建てで引き下げる。これにより、初・再診料は75歳を境に異なる料金体系となる。


 高齢者担当医による検査や画像診断、簡単な処置に対しては、包括して一定の報酬しか支払わない「定額制」を導入し、医療費膨張を防ぐ。


 このほか方針案には、具体的な勤務医の負担軽減策として(1)前置胎盤などリスクが高い出産の加算拡大(2)救急医療での初期対応に報酬上乗せ(3)病院外来の負担を軽くするため、診療所が午前6-8時と午後6-10時に時間外診療を延長すれば上乗せ(4)医療事務補助職員を配置した病院に加算?などを盛り込んだ。


▽再診料


 再診料 ベッド数が20床未満となっている医院などの診療所と、ベッド数が20床以上200床未満の病院で、病気やけがの治療を受ける際に2回目以降にかかる基本料のこと。診療所や病院の基本的収入となる。患者が初めて診察を受けたときに支払う初診料については、2006年度診療報酬改定で診療所を引き下げ、病院を上げて一本化したが、再診料は双方下げて格差が10円縮小したにとどまった。200床以上の病院での2回目以降の受診には、再診料とは別の「外来診療料」が適用される。

診療報酬改定方針案の要旨 <2>


記事:共同通信社
提供:共同通信社

【2008年1月16日】


 厚生労働省が16日の中央社会保険医療協議会に示した2008年度診療報酬改定方針案の要旨は次の通り。


 【緊急課題-病院勤務医の負担の軽減】前置胎盤や合併症があるなどリスクの高い出産の加算拡大▽地域の小児医療の中核的役割を果たす医療機関に診療報酬を加算▽診療所の再診料を引き下げることについて検討▽午前6-8時と午後6-10時に開業する診療所に加算▽医師の事務作業を補助する職員配置に加算▽救急医療での初期対応に診療報酬上乗せ


 【分かりやすく患者の生活の質を高める医療】患者の求めに応じた診療報酬算定項目の明細書発行を400床以上の病院に義務付け▽疾患別のリハビリテーション料は期間にかかわらず診療報酬点数を一本化▽標準的な治療法が確立し手術による入院期間やコストに大差ないものに一手術単位の支払い方式を導入▽夜間、休日に開業して調剤を行う薬局に時間外加算


 【医療機能の分化・連携の推進】脳卒中患者らの機能回復を図る「回復期リハビリテーション病棟」に居宅への復帰率や重症患者の受け入れ割合に着目した評価を導入▽入院患者7人に看護師1人の区分は手厚い看護が必要な急性期医療をする病院に限定▽半径4キロ以内に診療所がない病院が在宅医療を担う場合は在宅療養支援診療所と同様に評価▽多くの種類の内服薬を一包化する調剤の手間を再評価


 【今後重点的に評価するべき領域】放射線治療を必要とするがん患者の治療計画策定に加算▽複数の医療機関が「連携パス」と呼ばれる地域連携医療計画を作成すれば診療報酬上評価される対象疾患に脳卒中を追加▽身体症状を訴えて受診した患者にうつ病などを疑い精神科医に紹介した場合に情報提供料


 【効率化余地がある領域】安価な後発医薬品への変更を認めない場合にのみチェックする形式に処方せん様式を変更し、後発医薬品の使用促進を図る▽医薬品や医療機器、エックス線フィルムなどの医療材料は市場実勢価格を反映して引き下げ


 【後期高齢者医療制度の診療報酬】初診料は引き上げ再診料は引き下げる▽在宅での療養生活を希望する患者の退院支援計画を作成した場合に評価▽診療計画を作成するなどの研修を受け、全身的な病状管理を受け持つ「高齢者担当医(仮称)」を新設、検査や画像診断などは包括的に支払う