中医協における議論整理
本ブログで取りあげた話題を中心に論点を整理する。
- 疾患別のリハビリテーション料は期間にかかわらず診療報酬点数を一本化(リハビリテーション料を引下げ一本化する)
- 脳卒中患者らの機能回復を図る「回復期リハビリテーション病棟」に居宅への復帰率や重症患者の受け入れ割合に着目した評価を導入
- 複数の医療機関が「連携パス」と呼ばれる地域連携医療計画を作成すれば診療報酬上評価される対象疾患に脳卒中を追加
- 亜急性期入院医療管理料の要件見直し(病床数規制の緩和)
- 診療計画を作成するなどの研修を受け、全身的な病状管理を受け持つ「高齢者担当医(仮称)」を新設
- 担当医は原則的に診療所の開業医で、周囲に診療所がない場合は病院勤務医も認める
- 高齢者担当医は、患者の過去の病歴や服薬歴、福祉・介護サービスの利用状況などを初診時に詳しく把握する必要があるとして、75歳以上の患者については初診料(現行2700円)を引き上げる
- 再診時は継続的な指導・管理が診療の中心になることから、再診料は74歳以下の患者とは別建てで引き下げる
- 検査や画像診断などは包括的に支払う
# 診療所
- 診療所の再診料(現行710円)の引き下げ、病院の再診料(現行570円)は据え置く
- 外来管理加算に「5分以上の説明」という要件を新たに設ける
- 午前6-8時と午後6-10時に開業する診療所に加算
# 病院
- 特定機能病院の入院基本料の要件見直し(平均在院日数14日以内の加算)
- 救命救急入院料の評価の見直し(3日以内の退院の評価)
- 7対1入院基本料は手厚い看護が必要な急性期医療をする病院に限定(看護必要度導入)+医師の配置要件を「医師数が病床数に対して10分の1以上」
- 標準的な治療法が確立し手術による入院期間やコストに大差ないものに一手術単位の支払い方式を導入
- 医師の事務作業を補助する職員配置に加算
# 産科、小児科、救急
日医があれほど反対していた後期高齢者医療制度における登録医制度が、「高齢者担当医(仮称)」と名前を変え導入されようとしている。「高齢者担当医(仮称)」は、原則として診療所に限られる。現在、病院に通院している75歳以上の高齢者はかかりつけ医を変更せざるをえなくなる。外来医療に経営基盤をおいている中小病院にとっては打撃である。小さな自治体立病院は、公立病院ガイドラインの圧力もあり、存続が危ぶまれる事態となる。
診療所にとって、再診料引下げは死活問題となる。後期高齢者医療制度導入に伴い、事務作業も増える。
医師配置が比較的多い急性期病院は、入院医療に特化していればプラス要因が多い。しかし、勤務医の疲弊状態を解消するほどの金額となるかどうかは不明である。
リハビリテーションは、基本的にマイナス要因ばかりである。その中で、「成果主義」にかなう部分だけがプラスとなる。生き残りをかけて、「成果」があがる患者獲得競争が激化する。