成果主義における重症患者の評価基準

 CBニュースリハビリ成果主義、在宅復帰率などで(2007年12月3日)に戻る。重症患者の入院率と改善率に関わる部分を引用する。

基準2 重症患者の入院率
 「重症患者の入院率」では、日常生活に必要な身体機能(日常生活機能)で「重症度」を判断する。看護にかかる手間を判断する「看護必要度」と同様の指標を導入し、「寝返り」「起き上がり」「食事の摂取」「衣服の着脱」などの13項目で0点〜20点を付けて、10点以上を重症とする。
 参考資料によると、ある回復期病棟の入院患者189人のうち、入院時に10点以上だった患者は39人(20.6%)だった。
 この結果に関連して、原課長は「20%に設定すると少し厳しいかもしれない」と述べている。重症患者の入院率は今後議論する。


(中略)


基準3 重症患者の改善率
 「重症患者の改善率」は、入院時に10点以上だった重症患者の改善度合いと人数(割合)で判断する。10点未満の患者を含めた平均改善度を指標に含める方針かどうかは、まだ明らかではない。
 改善度は、例えば入院時に3点だった患者が退院時に1点に改善した場合はプラス2で、逆に4点に悪化した場合をマイナス1点として判断する。
 先述の参考資料によると、退院時の189人の平均改善度は2.13点で、39人の重症患者の平均改善度は1.61点だった。
 原課長は「重症患者がどれだけ改善するか、これがまさしく回復期リハの力量であると専門家が言っていた」と述べている。


(中略)


委員の反応より抜粋

 竹嶋康弘委員(日本医師会副会長)は「この指標は良くない。ほかにも(代表的な指標が)2つあるので、専門家の意見を聴いてしっかり作ってほしい」と改善を求めた。
 これに対して、原課長は「ご専門の竹嶋先生がおっしゃるようにFIMなどもよく使われているが、若干、運動器リハ向きの指標だと思っている。いくつかの指標を組み合わせることも検討したが、在宅復帰を目的とする回復期リハの指標としては全体的にこの指標が良いと考えた。今後、ブラッシュアップしていきたい」と回答した。


 既にFIM(Functional Independence Measure)やBI(Barthel Index)といった信頼性と妥当性が検証されたADL評価法がある。日本リハビリテーション医学会評価用語委員会 内にある「リハビリテーション関連雑誌における評価法使用動向調査」をみても、FIMやBIがよく使用されていることがわかる。
 それにも関わらず、厚労省は、急性期入院医療における看護サービスの指標として作成された「看護必要度(B得点)」=「日常生活機能指標」を回復期リハビリテーション病棟の評価として用いようとしている。各委員から、評価の基準については再検討を求める声が相次いでいる。

 「FIMなどは若干運動器リハ向きの指標だと思っている」という原課長の発言を聞くと、リハビリテーションのことが全く理解していないことがよく分かる。リハビリテーション分野は、学問の常識にはずれる提案をしても、無理強いできると判断されているようだ。リハビリテーション医療は、医療費抑制政策の格好のターゲットにされ続けている。