クモ膜下出血の木村拓也コーチ、前日から激しい頭痛を訴えていた

 巨人の木村拓也コーチが、クモ膜下出血で意識不明の重体となっている。

 巨人・木村拓也内野守備走塁コーチ(37)が2日午後5時30分頃、広島市南区マツダスタジアムで突然倒れた。対広島戦の試合前のシートノック中の出来事で、そのまま広島市内の病院に緊急搬送され、「くも膜下出血」と診断されて入院した。広島市消防局によると、緊急搬送時の同コーチの容体は意識不明の重体だという。現役コーチがグラウンドで意識不明に陥る事態に両軍はもちろん、球界に大きな衝撃が走った。

http://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2010/04/03/01.html


 注目しなければならないのは、次の記述である。

関係者によると「きのうから頭が痛くて、昨夜は2時間ぐらいしか眠れなかった」と体調不良を訴えていたという。


 クモ膜下出血は致死率が高い病気である。急性期を乗り切っても、意識障害四肢麻痺など重度後遺症を残すことが少なくない。軽度と一見見えても、前頭葉機能障害などの高次脳機能障害を残し、復職が困難となることがある。リハビリテーション対象疾患としてきわめて重要な疾患である。
 クモ膜下出血の多くは脳動脈瘤破裂が原因である。診断上最も重要なのは、「突然発症の頭痛」である。今までに感じたことがないような頭痛が、時間も特定できるような状況で生じた場合には、まず、クモ膜下出血を疑う。最初は軽度でも、脳動脈瘤破裂を繰り返す中でより重症となっていく。症状が軽度のうちに脳神経外科のある病院を受診すれば、速やかに治療が行われ、後遺症をほとんど残さずに治癒することが期待できる。
 木村拓也コーチの場合、前日から眠れないほどの激しい頭痛があった。この時点で診断がついていれば、重症化することはなかっと思われる。かえすがえすも残念である。(追加部分)もし、この頭痛が突然発症だったとしたら、クモ膜下出血をこの時発症していた可能性がある。早期治療のチャンスを失ったとしたら残念である。


 広島大学病院で医師団が必死に治療を行っている。奇跡的な回復を心から祈りたい。


<追記> 2010年4月5日午後8時20分
 コメントを受け、不適切と思われる部分を修正しました。


<追記> 2010年4月7日午後10時
 脳梗塞を早期に見分ける方法について記載したエントリーを関連エントリーとして追加いたします。


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