ブリストル排便スケール

 内科の先生が行った症例発表の中で、ブリストル排便スケールが使われていた。このスケールは、便性状を7段階に分けている。


Bristol stool scale - Wikipediaより。


 http://oab.jp/nursing/09.htmlに、ブリストル排便スケールの日本語版が載っている。


 1 コロコロ便: 硬くコロコロの便(ウサギの糞のような便)
 2 硬い便: 短く固まった硬い便
 3 やや硬い便: 水分が少なく、ひび割れている便
 4 普通便: 適度な軟らかさの便
 5 やや軟らかい便: 水分が多く、やや軟らかい便
 6 泥状便: 形のない泥のような便
 7 水様便: 水のような便


 本スケールは、1997年に英国のブリストル大学で開発されたもので、看護の世界では広く使われるようになってきている。イギリス人はソーセージ好きなのか、2〜4は硬さの違うソーセージとして表現されている。日本人の感覚でいうと、4はソーセージよりはバナナ状といった方が分かりやすい。
 正常の便性状は3〜5である。便秘が1〜2、下痢が6〜7となる。排便異常は、ブリストル排便スケールを用いれば具体的に表現できる。「50歳代の男性。約1ヶ月前から便秘がひどくなった。うさぎの糞のようなコロコロした便(ブリストル排便スケール1)が続いていた。」といった症例提示は実にスマートである。


 http://oab.jp/nursing/09.htmlには、便秘、下痢双方に関する具体的な対策が記載されている。なお、筆者の西村かおる先生は、日本における排泄ケアの第一人者である。ついこの間、西村先生の講演を聞く機会があり、感銘を受けた。西村先生の文章は、http://oab.jp/nursing/index.htmlにある【コンチネンスケア12の疑問】という連載のテーマの1つである。本特集はネット上で手に入る最も適切な教材集である。月刊ナーシング編集部がよく許可したものだと感心する。
 失禁がなく、トイレで排泄ができれば、ほとんどの患者は自宅退院できる。排泄はADLの最重要項目である。その意味で、リハビリテーション関連職種にとって、排泄ケアはより真剣に取り組まなければいけない課題といえる。