名ばかり店長解消、「店長つき店舗売却」推進
マクドナルド、名ばかり店長問題の続報。Business media 誠、FC強化で「大量退職勧告」ーー“マック残酷物語第2章”より、一部を引用。
FC強化で「大量退職勧告」ーー“マック残酷物語第2章”
「名ばかり店長」の「名ばかり残業代」に揺れる日本マクドナルド(東京、原田泳幸社長)が、全国の直営店のフランチャイズ(FC)化を強力に推進していることが26日分かった。一部店長を対象にした説明会で明らかにしたもので、数年以内にFC店比率を現在の3割から7割に引き上げる方針という。直営店長は1年の期限で出向扱いとなるが、本体に戻っても直営店長ポスト自体が大幅に減っていくのは確実。社員として残るか、FC店長への転身か、“究極の選択”を迫られる。「マック残酷物語」の第2章となるのか。
残業代問題も一挙解消狙う?
FC店比率の大幅な引き上げを打ち出した原田泳幸社長兼会長 「これは、人件費削減を目的とした事実上の退職勧告ですよ。われわれが地元勤務の確約と引き換えにFC店長へ移籍すれば、『名ばかり残業代』問題も一気に解消。現在係争中の未払い残業代の裁判も終結させることができますから」
夕刊フジの取材に応じた現職店長は、マック側の本音をこう解説してみせた。
ここでいう裁判とは、埼玉北部地区の店長、高野廣志氏(46)による未払い残業代750万円の支給を求めた裁判。東京地裁は今年1月、約750万円の支払いを命じる判決を言い渡しているが、同社はこれを不服として東京高裁に控訴している。
その一方で、マックは先週、「店長」および「エリアマネジャー」に対しては8月以降「職能手当」を廃止して、新たに残業代を支給することを決めた。
「残業代といっても、店舗運営や仕事量は何も変わらない中、会社の締め付けが厳しくなるだけ。残業代がかさめば自身の評価にも直結するのに、まともに残業命令を受けることなどできません。むしろ、労働環境がさらに劣悪になる恐れもある」(高野氏)。現職店長たちの労働環境の大幅改善は到底見込めないとみられているが、さらに店長たちを凍り付かせたのが先週の会社説明だった。
「本社は手始めに、今年中に直営300店のFC化を計画しているそうです。勝てる見込みのない高野さんの裁判を続けているのは、ここで敗訴が確定してしまえば、他の店長が同じ訴えを起こした場合にも、同じように過去に遡って残業代を払わざるを得なくなり、総額は200億円になるともいわれています。店長たちが退職してFCに移籍すれば、今後の巨大リスクを一気に軽減できるということです」(先出店長)
(中略)
マック店長を支援する「東京管理職ユニオン」(東京)の設楽清嗣書記長は「(FC戦略は)ハンバーガー収入ではなく、ロイヤルティー収入をメーンとする業態変更で、退職者への“のれん分け”どころか、、『店長つき店舗売却』というビジネス戦略に過ぎない。新賃金制度もFC戦略の第一の眼目で、店長間の格差拡大による労働条件切り下げが、投資家へのアピールに役立つとしか考えていない」と、不信感を表明している。
そんな不評をよそに、原田社長は26日付の全国紙の全面広告で、「メニューボードには載っていない、マクドナルドの大切な品質、それは『人』です。…私たちが思い描いているものは、すべての真ん中に輝く『人の笑顔』です」と、ニッコリ微笑んでいた。
同社広報は「会社としてFCビジネスを推進する旨の説明は致しましたが、店長にFC移籍を勧めたことはありません」と話している。
本当は、日本マクドナルド原田泳幸社長を悪し様に言いたくはない。原田泳幸氏の前身は、日本のアップルコンピュータ株式会社社長である。就任はスティーブ・ジョブス復帰と同じ1997年であり、迷走していたアップルを立て直した功労者の一人である。2004年、日本マクドナルド社長となった時には、「マックからマックへの転進」と話題となった。
残念ながら、一連の報道をみる限り、企業人としてのモラルが地に堕ちたとしか言えない。マニュアルどおりの笑顔などいらない。働いている人を大事にするという企業文化を育てることが先決である。