介護報酬改定 訪問系のまとめ−訪問看護

 資料1−2 平成21年度介護報酬改定の概要 全体版(PDF:654KB)(以下 「概要」)と、資料1−3 諮問書(平成21年度介護報酬改定について)全体版(PDF:1,339KB)(以下 「諮問書」)をもとに、訪問看護に関する改定の内容をまとめる。使用した資料は下記のとおりである。なお、「諮問書」のページ数はPDFファイルのページ数を示している。

  • 訪問看護(概要P12〜13)(諮問書別紙1−1 P15〜21、別紙2-1 P186〜192、別紙6 P327〜328)

# 訪問看護に関する介護報酬改定の特徴
 各種新規加算が設定されたこと以外、変更はない。

  • 長時間訪問看護加算
    • 1時間30分以上の訪問看護を行った場合に加算。特別管理加算対象者(中心静脈栄養等)、気管カニューレ、留置カテーテル人工肛門に加え、真皮まで及ぶ褥瘡などを行っている患者も対象とする: 300単位/回
  • 複数名訪問加算
    • 利用者の身体的理由により1人の看護師等による訪問看護が困難と認められる場合。暴力行為、著しい迷惑行為、器物等破損行為等が認められる場合。その他準ずる状態。: 30分未満 254単位/回。30分以上 402単位/回
  • ターミナルケア加算
    • 死亡日前14日以内に2回以上ターミナルケアを実施していること。
    • 主治医との連携の下、訪問看護におけるターミナルケアに係る計画及び支援体制について利用者及びその家族等に対して説明を行い、同意を得てターミナルケアを実施していること。: 1,200単位/死亡月 → 2,000単位/死亡月
  • サービス提供強化体制加算
    • 研修等を実施しており、かつ、看護師等の総数のうち、勤続年数3年以上の占める割合が30%以上配置されていること: 6点/回
  • 中山間地域等における小規模事業所加算: 所定単位数の10%を加算
  • 中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算: 所定単位数の5%を加算


 訪問看護に関しては、2006年改定時も大幅な変更はなかった。在院日数短縮化、および、急速な高齢化が進む中、重度障害を持った者がより早期に自宅に退院する。その受け皿として、訪問看護が期待されている。

内部留保の使い方

 http://sankei.jp.msn.com/economy/business/081225/biz0812252229017-n1.htmより。

日本経団連大橋洋治経営労働政策委員会委員長「内部保留は糧」
2008.12.25 22:27


 「日に日に経済情勢は悪化しており、なかなか連合側の要求に応えきれないと思う。ベア要求の根拠となる消費者物価の上昇は、生産性には寄与しない」


 −−雇用の悪化も深刻だ


 「各企業もできるだけの努力はするが、企業の能力にも限界がある。早急に官民一体でセーフティーネットを張る必要がある」


 −−派遣労働の不備について産業界の責任は


 「確かに企業側にも責任はある。派遣労働法の規制緩和の検証は必要だが、働き方の多様性などの良い点もある。派遣を否定するのではなく、これを契機に中身を充実させるべきだ」


 −−連合は内部留保を原資に賃上げを求めている


 「内部留保は企業の成長の糧。配当に回すにせよ、従業員に配分するにせよ、どのステークホルダー(利害関係者)に重点を置くかは企業の判断だ」


 続いて、http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2008122702000086.htmlより。

ガテン系連帯 小谷野毅事務局長 内部留保吐き出せ
2008年12月27日 朝刊


 今年十月から来年三月までに職を失う非正規労働者は、八万五千人に上る見込みという。未曾有の失職時代の到来だ。失職者が再び、働く場を得るために何をすべきなのか。労働問題関係者に処方せんを聞く。


 規制緩和で労働力を移動しやすくしたのが労働者派遣制度。これまでは一つの派遣先の仕事が終わっても、次に仕事があったから良かった。製造業を中心に大量の派遣労働者が失業する現状では、雇用主の派遣会社が責任を負うだけではなく、労働力を使う派遣先企業も一定の責任を負う仕組みが求められる。


 ヒントは、労働者派遣が禁止されている建設業と港湾荷役業にある。企業の退職金は勤務年数によって決められるが、建設労働者や荷役労働者は雇われる先が一定ではない。しかし、労働力を使う建設会社や船会社が雇用に一定の責任を負って資金を拠出し、彼らは働いた日数に応じて退職金をもらうことができる。


 これを応用して、労働者派遣を利用する企業が、派遣労働者の雇用安定や福利厚生のために金を出し合う制度を設計しないと、いつまでも在庫整理のような派遣労働者の使い捨てが続く。


 法整備に時間がかかるだろうから、早急に企業がすべきなのは、内部留保金から派遣会社や自治体に拠出し、派遣労働者に還元させたり、失業者を役所の臨時職員に採用するなどの雇用創出をすることだ。特に製造業の工場は、自治体が税制優遇して誘致されている。こういう時にこそ、自治体に恩返しをすべきではないのか。


 もともと、企業の経営者は社会貢献するからこそ高い地位が与えられているはず。「百年に一度の不況」と言うのなら、企業も「百年に一度の社会貢献」の仕方がある。


 こやの・たけし 建設労働者などを経て、2006年、特定非営利活動法人ガテン系連帯」事務局長。07年、全日本建設運輸連帯労働組合(連帯)書記長。53歳。


 低賃金で働き利潤を生み出した非正規労働者が路頭に迷っている状況で、内部留保をどのように使うかは企業の判断だ、と言い切る経団連幹部の感覚に薄ら寒さを感じる。雇用問題にどのように対処するかは、「企業の品格」の問題である。企業の社会的貢献が形ばかりのものかどうかが問われている。