また、ストレッチャーからの転落で死亡事故発生

 介護施設で、入浴時にストレッチャーから転落し、死亡する事故がまた起こった。


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 河北新報介護施設で女性死亡 入浴時に転落、頭打つ 仙台より。

介護施設で女性死亡 入浴時に転落、頭打つ 仙台


 仙台市太白区の介護老人保健施設「ソアーズ」で10日、入所者女性(88)が入浴時にストレッチャーと呼ばれる台から転落して頭を打ち、死亡していたことが12日、分かった。死因は、脳の血腫が転落で悪化した出血性ショックとみられる。


 ソアーズと市介護保険課によると、女性は10日午前10時20分ごろ、1階浴室で入浴後、高さ約80センチの台に寝ていた態勢からタイルの床に転落した。市内の病院に搬送されたが、11日に死亡。施設は家族に謝罪し、市に報告した。12日には仙台南署に届けた。


 女性は左半身にまひがあり、要介護度5に認定。台に寝ているときは転落防止のベルトを着用していたが、ヘルパーが着替えのためベルトを外し、目を離したすきに転落したという。


 ソアーズは「15年間同じ方法で入浴の介助をしてきたが、今後は下半身の服を着せたら、車いすに移すなど再発防止に努めたい」と説明した。


 全国の介護施設で入浴時の事故が相次ぎ、仙台市は5日、市内の高齢者福祉施設380カ所に注意喚起の文書を出したばかりだった。


 市は「今回の件は事故とみている。各施設が入浴の手順などをしっかり確認し、事故が起きないように徹底してほしい」と強調している。
2008年11月13日木曜日


 事故原因については詳細不明である。記事内容をみる限り、転落時に傍についていたヘルパーが1人だけだったのではないかという疑念がある。もし、そうだとすれば、介護現場の人手不足が事故を引き起こしたことになる。
 全国あちこちで同種の転落事故が発生している。介護施設での入浴介助法を総点検しなければならない。

二階経産相の発言に抗議相次ぐ

 二階俊博経産相の『医者のモラルの問題』発言に関し、抗議が相次いでいる。


 全国医師連盟二階経済産業大臣の発言に対し抗議しましたより。

二階俊博経産相の『医者のモラルの問題』発言への抗議


 昨今の重症妊婦受け入れ不能の事案に関し、舛添厚生労働大臣と二階経済産業大臣との会談において、 二階俊博経産相が「政治の立場で申し上げるなら、何よりも医者のモラルの問題だと思いますよ。忙しいだの、人が足りないだのというのは言い訳にすぎない」と発言したことが報道されました。 (11月10日のTBSニュース(イブニング・ファイブ)による)


上記発言に対し、私たち全国医師連盟は強く抗議します。


 続いて、MRIC、臨時 vol 165 「二階俊博経産相の『医者のモラルの問題』発言への抗議文」より、周産期医療の崩壊をくい止める会代表 佐藤章氏の抗議文。

臨時 vol 165 「二階俊博経産相の『医者のモラルの問題』発言への抗議文」
2008年11月12日発行


周産期医療の崩壊をくい止める会
代表 佐藤 章


 周産期医療におけるいたたまれない事態が今もなお続いている昨今の状況の改善には、周産期医療に携わる医療者一同努力を重ねておりますが、今もなお国民の皆様の期待と信頼に十分にお答えすることができない状況が継続しており、ご心配をおかけしておりますことをお詫び申し上げます。


 しかしながら、現場の努力だけでは解決できない状況を二階俊博経済産業大臣へもご理解頂きたく存じます。そして、二階大臣が舛添要一厚生労働大臣との会談において、「政治の立場で申し上げるなら、何よりも医者のモラルの問題だと思いますよ。忙しいだの、人が足りないだのというのは言い訳にすぎない」と発言されたことに対して、周産期医療の崩壊をくい止める会代表として、強く抗議いたします。

■結語に代えて


 私たち周産期に携わる者は、先の奥様を亡くされたご主人からのお言葉である「妻の死が浮き彫りにした問題を力をあわせて医師、病院、東京都、国で改善してほしい。妻の死を無駄にしてほしくないし息子のためにも息子にとって日本一の母親だったといえるような状態に改善してほしい。」を忘れることなく、事態解決に向けこれからも努力をして参ります。


 二階大臣におかれましても、政治の立場において、我が国の医療の状況を正しくご認識頂き、国民のために内閣の一員として、事態解決にむけご助力を頂きますようお願い申し上げます。


 以上の次第により、私は、周産期医療の崩壊をくい止める会の代表として、二階経産大臣の上記発言につき強く抗議し、発言の撤回を求めます。


 もう一つ、CBニュース、経産相発言は「責任転嫁」―日医より、日本医師会中川理事の発言。

経産相発言は「責任転嫁」―日医


 日本医師会中川俊男常任理事は11月12日の定例記者会見で、二階俊博経済産業相が救急医療機関で妊婦の受け入れができない事例が相次いで明らかになっているのを受けて、「医者のモラルの問題」などと発言したとされる問題について、「システム上の問題を医師のモラルの問題に責任転嫁するのは大問題だ」と非難した。


 二階経産相のあまりにも次元の低い発言に唖然とする。医療崩壊と呼ばれる現象の最大の原因は、歴代内閣の医療費抑制政策、医師養成抑制政策にある。「医師のモラル」を云々する前に、「政治家のモラル」を自覚し、行政府の責任者の1人として、その任務をまっとうしていただきたい。