新専門医制度の来年度開始が確定

 2018年度より新専門医制度が実施されることが確定したことを受け、この間の議論に関するリンク集を備忘録としてまとめた。

 

# 一般社団法人 日本専門医機構

* 機構便り : 日本専門医機構とは : 一般社団法人 日本専門医機構

  • 機構便り 14号「第14回理事会 概要」(2017.6.8)
  • 機構便り15号「第15回理事会概要」(2017.7.7、HP未掲載のため後日追加)

* 重要なお知らせ : 一般社団法人 日本専門医機構

 

# 今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会 |厚生労働省

 第4回 今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会審議会資料 |厚生労働省

 

 新専門医制度に関する直近の流れを以下にまとめた。

 2017年4月24日以降8月9日まで、今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会が計4回行われ、新専門医制度に対する要望が出された。これを受け、日本専門医機構でも議論が行われた。

 2017年6月8日、日本専門医機構第14回理事会が開催され、Q&A、新整備指針第二版が承認された。6月29日に平成29年度第1回社員総会が開かれ、社員である各医学会に説明が行われた。7月7日、第15回理事会が開催され、新整備指針運用細目が承認され、ホームページに掲載された。これで規約上、新しい専門医制度に関わる環境が全て整った。

 

 主な変更点は、次の4点である。

  1. 専門医の取得は義務づけでないことを整備指針に明記する
  2. 地域医療従事者や女性医師等に配慮し、研修年限が決まっているプログラム制だけでなく、研修年限の上限を定めないカリキュラム制の設置を整備指針に明記する
  3. 研修の中心は大学病院のみではなく、地域の中核病院等であることを整備指針に明記する
  4. 都道府県協議会に市町村を含め、研修プログラム承認後も地域医療の確保の動向を機構が協議会に情報提供し、協議会が意見を出した際は、研修プログラムを改善することを整備指針に明記する

 このほか、基本領域専門医を複数取得すること(ダブルボード)も可能となった。例えば、 脳神経外科や整形外科専門医を取得後、リハビリテーション専門医を取得することも、「当該基本領域学会が協同して細則を定め、機構が認定する」ことで可能となった。

 
 8月2日、塩崎恭厚生労働大臣と吉村博邦理事長が面談を行い、厚生労働大臣が談話を発表した。8月4日に行われた日本専門医機構第16回理事会の後、記者会見が行われ、吉村博邦理事長より声明が出され、2018年度開始に向け正式にゴーサインが出された。声明では、次のように記載されている。

 平成 29 年 8 月 2 日、塩崎厚生労働大臣と本機構理事長が面談を行い、これまでの機構の取り組みを報告し、平成 30 年度からの制度開始に向けて、本年10 月より専攻医の登録を開始できるよう鋭意準備を進めていることをお伝えし、大臣より、「新たな専門医制度」に対する厚生労働大臣談話の概要をお伺いし、大臣のご意向を重く受け止め、機構として十分に検討の上、真摯に対応したいとの回答を行いました。

 機構理事会では、同日公表された大臣談話を踏まえ、平成 30 年 4 月からの新たな専門医制度の開始に向けて、本年 10 月初旬を目途に、基本 19 領域の専攻医の一次登録を開始し、また、本年 12 月中旬を目途に二次登録を開始することと致しました。また、その後も研修先の決まらない専攻医希望者に対し、引き続き、応募を可能とする方向で検討することと致します。

 

 新専門医制度は、今年2年目の初期研修医から対象となる。水面下で議論が進んでいたので、面食らっている研修医もいるかもしれない。10月初旬までのわずか2ヶ月間に専門領域を決め、かつ、どのプログラムを選ぶかを決める必要がある。募集定員も決まっているため、人気のある都市部のプログラムを選んでも選考から外れるおそれもある。

 受け入れる側も準備は始めていたが、実際に動き出すとなると、不具合が出てくることも十分考えられる。のんびりしていては、迷っている研修医を他にさらわれ、専攻医確保ができなくなる。

 2018年度は、新専門医制度だけでなく、診療報酬・介護報酬同時改定、第7次医療計画と第7期介護事業計画の同時施行が予定されている。現在、中医協など担当する審議会などが連携して準備を進めている。これだけ重大な改定をまとめて行うことのできる年度はこれまでなく、今後も当面ない。2018年度の診療報酬改定、医療・介護連携をさらに推進―鈴木保険局長インタビュー(1) | メディ・ウォッチ | データが拓く新時代医療を見ると、厚労省官僚自体がこの機会を惑星直列と表現し、並々ならない意欲を示している。医療・介護制度の大規模な改革が直前に迫っており、心して準備をしなければならないと覚悟を決める必要がある。