平成24年度介護報酬改定に関する関係Q&A(3)

 平成24年度介護報酬改定に関する関係Q&A(平成24 年3 月16 日)についてより、「在宅強化型の介護老人保健施設」について。
 この「在宅強化型の介護老人保健施設」については、 第88回社会保障審議会介護給付費分科会資料 平成24年1月25日にある資料1−2平成24年度介護報酬改定の概要(PDF:675KB)の34〜35ページに次のような説明がある。

(2) 介護老人保健施設
 在宅復帰支援型の施設としての機能を強化する観点から、在宅復帰の状況及びベッドの回転率を指標とし、機能に応じた報酬体系への見直しを行う。


(中略)


※ 現行の介護保健施設サービス費(ii)を介護保健施設サービス費(iii)とし、介護保健施設サービス費(ii)及び介護保健施設サービス費(iv)を創設する。

 介護保健施設サービス費(i)と(iii)が引き下げられ、(ii)及び(iv)は増額されている。

※ 算定要件(介護保健施設サービス費I(ii若しくはiv)
【体制要件】
 理学療法士作業療法士又は言語聴覚士を適切に配置していること。
【在宅復帰要件】
・算定日が属する月の前 6 月間において当該施設から退所した者の総数(当該施設内で死亡した者を除く。)のうち、在宅において介護を受けることとなったもの(入所期間が1 月以上のものに限る。)の占める割合が 100 分の 50 を超えていること。
・入所者の退所後 30 日以内(当該入所者が要介護4又は要介護5である場合は 14 日以内)に、当該施設の従業者が居宅を訪問し、又は居宅介護支援事業者から情報提供を受けることにより、退所者の在宅における生活が 1 月以上(当該入所者が要介護4又は要介護5である場合は 14 日以上)、継続する見込みであること。
【ベッド回転率要件】
・30.4 を入所者の平均在所日数で除して得た数が 0.1 以上であること。
【重度者要件】(以下のいずれかである場合)
・ 算定日が属する月の前3月間における入所者のうち、要介護4又は要介護5である者の占める割合が 35%以上であること。
・ 算定日が属する月の前3月間における入所者のうち、喀痰吸引が実施された者の占める割合が 10%以上又は経管栄養が実施された者の占める割合が 10%以上であること。


 以下、Q & Aより。
○ 在宅強化型の介護老人保健施設

問198 平成24年度介護報酬改定において新設された介護保健施設サービス費(I)の介護保健施設サービス費(ii)又は(iv)を算定する介護老人保健施設(以下、「在宅強化型の介護老人保健施設」という。)における「在宅において介護を受けることとなったものの占める割合」、「30.4 を当該施設の入所者の平均在所日数で除して得た数」、「要介護4及び要介護5の者の占める割合」などの要件については、都道府県への届出を毎月行う必要があるのか。

(答)
 届出内容に変更がなければ毎月の届出は不要である。

問 199 在宅強化型の介護老人保健施設の要件における「算定日が属する月の前 6 月間」及び「算定日が属する月の前 3 月間」とはどの範囲なのか。

(答)
 在宅強化型の介護老人保健施設においては、届出が受理された日が属する月の翌月(届出が受理された日が月の初日である場合は当該月)から算定を開始するものであり、「算定日が属する月の前6月間」又は「算定日が 属する月の前3月間」とは、算定を開始する月の前月を含む前6月間又は前3月間のことをいう。
 ただし、算定を開始する月の前月末の状況を届け出ることが困難である場合は、算定を開始する月の前々月末までの状況に基づき前月に届出を行う取扱いとしても差し支えない。
 なお、在宅復帰・在宅療養支援機能加算及び介護療養型老人保健施設の基本施設サービス費についても同様の取扱いである。


(参考) 平成 24 年 6 月から算定を開始する場合
・算定日が属する月の前6月間...平成 23 年 12 月から平成 24 年 5 月まで
 注:算定を開始する月の前月末の状況を届け出ることが困難である場合は、平 成23年11月から平成24年4月まで
・算定日が属する月の前3月間...平成 24 年 3 月から 5 月まで
 注:算定を開始する月の前月末の状況を届け出ることが困難である場合は、平成24年2月から4月まで

問 200 平均在所日数における退所者には、医療機関へ入院した者も含むのか。

(答)
 医療機関へ入院した者も含む。退所先は問わない。

問 201 平均在所日数の計算方法における「入所者延日数」とはどのように 計算するのか。

(答)
 入所者延日数とは、直近3月間の日々の入所者数(毎日 24 時時点で当該施設に入所中の者(当該施設に入所してその日のうちに退所又は死亡し た者を含む。))を合算したものである。

問202 「在宅において介護を受けることとなったものの占める割合」、「30.4 を当該施設の入所者の平均在所日数で除して得た数」、「要介護4及び要介護5の者の占める割合」などの算出において、短期入所療養介護の利用者についても、入所者に含むのか。

(答)
 短期入所療養介護の利用者は含まない。

問203
 平成24年度介護報酬改定において新設された在宅強化型の介護老人保健施設の要件を満たさなくなった場合は、基本施設サービス費の算定はどのように取り扱うのか。

(答)
 要件を満たさなくなった場合、その翌月は、その要件を満たすものとなるよう必要な対応を行うこととし、それでも満たさない場合には、満たさなくなった翌々月に届出を行い、当該届出を行った月から従来型の介護老人保健施設の基本施設サービス費(介護保健施設サービス費(I)の介護保健施設サービス費(i)又は(iii))を算定する。なお、満たさなくなった翌月末において、要件を満たした場合には、翌々月の届出は不要である。
 また、在宅強化型から従来型の介護老人保健施設の基本施設サービス費を算定することに変更になった場合、在宅復帰・在宅療養支援機能加算の算定要件を満たせば、届出が受理された日が属する月の翌月(届出が受理された日が月の初日である場合は当該月)から在宅復帰・在宅療養支援機能加算を算定できる。

問 204 「在宅において介護を受けることになったもの」とは、退所してそのままショートステイを利用する場合も含むのか。

(答) 「在宅において介護を受けることとなったものの占める割合」の要件は、入所者が在宅において介護を受けることを評価したものであることから、 居宅サービスを利用することは問題ないが、退所後、直接短期入所生活介護又は短期入所療養介護等のショートステイを利用する場合など、実際には在宅で介護を受けないことが見込まれる場合は含まれない。

問 205 在宅強化型の介護老人保健施設の算定要件において、前3月における入所者のうち、喀痰吸引を必要とする者と経管栄養を必要とする者の合計の占める割合が10%以上であれば当該要件を満たすと考えてよいか。

(答) 喀痰吸引を必要とする者が10%以上又は経管栄養を必要とする者が10%以上であることが必要である。

問206 従来型の介護老人保健施設の基本施設サービス費を算定していたが、要件を満たしたため在宅強化型の介護老人保健施設の基本施設サービス費を算定することとなった場合、入所日は、新たに在宅強化型の介護老人保健施設の基本施設サービス費の算定を開始した日となるのか。

(答)
 入所者の入所中に、介護老人保健施設の基本施設サービス費の種類が変更となった場合であっても、当該入所者の入所日は、基本施設サービス費 が変わる前の入所日である。
 なお、短期集中リハビリテーション実施加算等の起算日についても同様 の取扱いとなる。


<感想>
 MSWから、老人保健施設の受入れが厳しくなっていると聞いていたが、その原因が在宅強化型の介護老人保健施設にあるとは気づかなかった。その要件を見てみると、在宅復帰率50%以上(施設内死亡者を除く)、退所後在宅生活期間30日以上(要介護4、5は14日以上)、平均在所日数304日以下、重症入所者(要介護4、5)率35%以上、経管栄養率10%以上ということになる。
 老健施設は、生き残りをかけた対応が迫られている。在宅扱いとなる介護付高齢者住宅、有料老人ホームの併設や連携をする施設が増えると予想する。老健と連携居住施設を往復するような形になれば在宅復帰率クリアは容易となる。また、要介護4、5の在宅患者を、短期入所ではなくミドルスティで受入れることも増えると予想する。
 回復期リハビリテーション病棟も在宅復帰率を求められている。自宅退院できそうな方は自らの病棟から直接帰っていただいた方が良い。したがって、老健施設にお願いする方はいかなる手段を使っても在宅復帰が困難な患者が中心となる。しかし、今後は、同居家族数が少ない、家族介護力がない、家族関係不良、などの問題がある患者は、在宅強化型の介護老人保健施設からは断られる可能性が高い。
 地域連携室担当者のストレスがたまりそうである。労らなくてはと思う。