津波被災地域隣接地で通所介護を立ち上げる

 津波被災地域隣接地にある若林クリニックにて通所介護を立ち上げることを、本日の法人理事会にて確認した。


 仙台市沿岸部を襲った津波は、仙台東部道路で勢いこそせきとめられたが、若林クリニックまで押し寄せた。沿岸部の被災者は付近の六郷中学校や六郷市民センターを避難所とした。若林クリニックは、自らも被災医療機関でありながら、全国からの支援をもらい震災直後の被災者支援活動を行っていた。
 そのクリニックの空きスペースを利用し、月間300人を超えない規模の小規模通所介護を開始することになった。スタッフは当院通所事業の経験者を配置する。もともと外来棟にて通所リハビリテーション通所介護事業を1日50人規模で行っていた。その外来棟が被災し、通所事業の再展開を模索していたところだった。
 一時、遠方の親戚宅等に避難していた被災者たちも沿岸部近くに帰りつつある。仮設住宅の建設も進み、入居を待っている方々もいる。環境の変化で低活動状態になり、新たに介護が必要になった高齢者もいる。しかし、居宅介護事業所自体が被災し、提供できるサービスが減少している。

 東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県で、高齢者向けの居宅介護サービスを提供している57の事業所が震災を理由に休廃止していることがわかった。休止のうち9割は再開できる見通しもない。岩手県でも36事業所がサービスを提供していない。被災地の「介護力」の低下が浮き彫りになった。


 宮城県は5月中旬、居宅介護支援、訪問介護通所介護の各サービスを提供している県内の全1595事業所の現況を調べた。震災を理由とする廃止は10事業所で、休止は47事業所。再開予定を回答できたのは、5カ所にとどまった。


 大半が沿岸部にあり、53事業所は建物が使えなくなったことを理由に挙げた。訪問用の自動車を失ったことや、ライフラインが復旧していないという理由も多い。休廃止していなくても、ほかに59事業所が移転や仮設事務所での運営を余儀なくされている。

http://www.asahi.com/national/update/0608/TKY201106080672.html


 回復期リハビリテーション病棟の各種加算の関係もあり、当院リハビリテーションスタッフを常駐させるところまでは行っていない。しかし、看護師、介護福祉士、物療スタッフとリハビリテーションスタッフが密接な連携をもって通所事業を行っていた。新たな通所介護事業でも同様の対応を目指す。
 需要からすると1ヶ所だけでは通所事業所は足りないと予測する。小規模であるメリットを生かし、民家を借りて更なる展開をすることも検討している。
 東日本大震災が起こってから、はや3ヶ月が過ぎた。急性期対応が終わり、長く続く慢性期支援の時期になった。被災地の医療施設介護事業所しかできない取組みがここから始まる。