もしも石巻に大地震が起こったら

 宮城県医師会報(2011年6月号)が手元に届いた。災害時医療を経験してという宮城県医師会常任理事登米祐也先生の文章を読むと、震災発生当時、情報収集が如何に困難だったかが思い起こされる。


 巻頭文に続き、「もしも石巻に大地震が起こったら」と題した石巻赤十字病院石井正先生の論説が掲載されている。本原稿は、震災1週間前に宮城県医師会に届いたものである。震災前に石巻でどのような準備が行われていたかが伺える貴重な資料である。


 次のような内容が記載されている。

  • 宮城県沖地震が30年以内に起きる可能性は99%であり、あらかじめ準備が必要である。
  • DMAT(disaster medical assistance team)が政府の主導で作られた。災害救護に経験と伝統がある日赤も当初の独自路線を変更し、国家的プロジェクトであるDMATと協働することを目指すようになった。
  • 国の考え方に地方自治体が追い付いていない。石巻をはじめとした周辺自治体の防災計画にはDMATに関する記載がない。
  • 円滑に災害医療を進めるためには、DMATだけではなく、自治体・医師会・消防・警察・自衛隊・保健所・海上保安庁などの組織と緊密に連携する必要がある。そのため、2010年1月に、石巻赤十字病院が幹事役となって、「石巻地域災害医療実務担当者ネットワーク協議会」を立ち上げた。2ヶ月に1回程度集まって、議論をしている。
  • 2011年2月12日、自分は6人目となる宮城県災害医療コーディネーターを県より委嘱された。担当ブロックは、県北部沿岸地域、石巻から気仙沼である。「石巻地域災害医療実務担当者ネットワーク協議会」を災害医療コーディネーターの諮問機関として組み込むことを県と協議していきたい。まだ、参加をいただいていない組織(桃生郡などの近隣医師会、女川原発、など)にも広く参加を呼び掛けていきたい。


 宮城県沖地震を想定して準備をしていたことが、震災時に役立ったことがわかる。大規模災害に備え、万が一のことを考えて、地域のネットワークを普段から構築していることの重要性が伺える。