MMJ季刊化の理由

 机の上を整理していた時、http://mainichi.jp/enta/book/mmj/news/20100617org00m100010000c.htmlの巻頭にあった「医学誌としてのMMJの存続」という編集委員会の文章が目に留まった。同誌が月刊から季刊に変更になった理由を次のように記載していた。

 ところがしばらく前に、製薬業界からの広告がぴたりと止まってしまった。業界の2010年問題の影響もあろうが、MMJの医薬品の広告が激減したことには、いささかの原因がある。
 06年に奈良県で起こった産科救急の報道記事などで、「毎日新聞の報道が医療を崩壊させた」との批判を一部の医師から頂いた。さらに、インターネットの「Mainichi Daily News」で、国内週刊誌の看護師や医師を扱った低俗記事が口に出すのも憚られる英語に翻訳され、海外に配信された。それを毎日新聞社はチェックできなかった。
 いくら優れた医学誌を刊行してきたと自負しても、身内の不祥事は言い訳にならない。そして毎日新聞本体もMMJも、これに対して大きな代償を支払った。


 MMJ6月号の誌面をパラパラとめくってみると、わずか55ページしかなく、広告も旅行会社、マンション業者、タイヤ会社、出版会社、計4ページしかない。
 http://macs.mainichi.co.jp/shuppan/mmj/index.htmlに広告料金が記載されている。モノクロ1ページで1回56万円となる。料金表の見方がよくわからないが、カラーだと約80万円になるようだ。そうすると、MMJ6月号の広告収入は、およそ300万円となる。
 定価950円で約5万部の発行となっているが、ほとんどが無料配布である。私のところにも頼んでいないにも関わらず送りつけられている。送料だけを考えても、第3種郵便で割安となった場合でも300万円程度となる。広告収入が送料で消えるということなら、発行すればするほど赤字となる。
 広告収入を頼りとしたビジネスモデルが自らの不祥事で破綻してしまった。広告主から敬遠されるとなれば、会社自体の存続も危うくなる。医療分野では、キャリアブレインやm3など強力なネット事業者が力をつけており、あえて評判の悪いメディアに広告を出稿する必要はない。
 MMJ編集委員会の率直な表明を読む限り、雑誌存続のための最良の手段は、競合会社への身売りしかない。毎日新聞社にいつ見切りをつけるのか、当事者たちは悩んでいるように思える。