チームとディシプリン

 FIFAワールドカップにおいて、日本はデンマークを3対1で破り、決勝ラウンドに進出した。日本時間午前3時30分から行われた中継は、最高視聴率も40%を超えた。私も後半からだが、眠い目をこすりながら、観戦した。結果だけでなく、内容的にも素晴らしく、世界の賞賛を浴びている。
 岡田ジャパンの快挙に関し、ネットサーフィンをしていろいろな意見を読んできたが、もっともしっくりしたのが、次のものである。

 10年ほど前、日本のサッカー界では、「ディシプリン」という言葉がもっと頻繁に使われていた。「規律」「共通理解」などと訳されていたが、要するに「選手たちが同じ目的のために、決められた約束ごとを守る」こと。世界のサッカーが欧州に一極集中して以来、数多くの選手が欧州でプレーすること=代表チーム強化と考えていたが、日本とフランスを見れば、必ずしも正しくないことがわかる。控え選手、スタッフらとの団結力を含め、日本の強みは「ディシプリン」にあると改めて痛感した。

http://southafrica2010.yahoo.co.jp/news/ndetail/20100626-00000056-san-socc


 前日本代表監督オシム氏も、ディプリンを強調している。本大会のコメントを見ても、一部の選手がエゴイズムにはしることがあると、痛烈に批判している。
 チーム医療を表現する際にも、ディプリンdisciplineは使われる。Transdisciplinary Team Model(相互乗り入れチームモデル)(2010年4月11日)では、次のような内容を紹介した。

(3)Transdisciplinary Team Model(相互乗り入れチームモデル)
 意見交換ばかりでなく、多職種間の相互乗り入れで治療を行う。
 患者の必要性がまず存在し(目標指向性) 、その必要性をそこに存在する医療者で区分して担当する。医療者は状況に応じて役割が変動する。包括的治療を行う場合に有効と言われている。


 ここで使用されているdisciplinaryとは、規律をもって学ばれている専門分野という意味である。
 目標指向性、徹底的な話し合いに基づく役割分担と相互の協調という意味で、チーム医療とサッカーの親和性はかなり高い。
 岡田監督は、当初目指していた戦略がうまく行かなかった段階で、方針を大胆に変更した。ワールドカップでの活躍という目標を、選手・スタッフが共有し、役割を確認し、短期間で実行した。トップダウン手法だけではディプリンは機能しない。現場の自主性に任せると放任すると、軋轢が生じチームは瓦解する。岡田監督が難題をどのように解決したかに興味がわく。予選ラウンドが終わった段階で気が早いと思われるが、W杯後に関係者が出す書籍は、間違いなくベストセラーになると予測する。