現生人類にネアンデルタール人の遺伝子が受け継がれている

 考古学的知見に加え、DNA研究が人類史の解明に応用されるようになってきている。今回、驚くべき研究結果が発表された。

 研究チームは、クロアチアの洞穴から発掘された4万年ほど前の3人のネアンデルタール人女性の骨片を使い、ゲノム配列を調べ、ネアンデルタール人のゲノム全体の約6割を解明した。

 この情報とフランス、中国、パプアニューギニア、アフリカ南部と同西部の5人のヒトゲノムとを比べた。すると、アフリカ以外のヒトはゲノムの1〜4%がネアンデルタール人由来と推測できた。子孫を残せるほど近い関係だったことになる。

http://www.asahi.com/science/update/0506/TKY201005060407.html


 現生人類(ホモサピエンス)がいつ発生したかについては、アフリカ単一起源説が最も有力である。約20万年前に生まれた現生人類は、長い旅路の末、日本列島に約3万年前にたどり着いたと解釈されている。今回の研究をふまえると、コーカソイドモンゴロイド、そして、オーストラロイドは、ネアンデルタール人の遺伝子を受け継いでいることになる。ネアンデルタール人の絶滅原因は何か、ホモサピエンスとの共存はどのような状況だったのかなど、未解明な謎にせまるてがかりをつかんだことになる。