脳梗塞再発予防に関する第一線医療機関の工夫

 脳卒中、特に脳梗塞の再発予防に関する勉強会が開かれた。減塩、禁煙、ワーファリンコントロールなどについて、第一線医療機関でどのような工夫をしているか、有意義な情報交換がなされた。


(1)減塩指導
 口頭で減塩指導をしても無駄。1日塩分摂取量の推計値をもとに指導を行うと効果的。塩分過剰摂取の動かぬ証拠を見せることが大事。漬け物やみそ汁を禁止するくらいのつもりにならないと塩分摂取量は減らない。
 調べてみると、通販「福之介」 塩分「摂取量」測定器のような機械が既に販売されている。(旧版)高血圧治療ガイドライン2009 | Mindsガイドラインライブラリで推奨されている方法をもとに作成されたとのこと。


(2)禁煙
 チャンビックス*1という新しい禁煙治療薬が効果的である。特に作用機序を説明して十分理解してから治療を開始すると禁煙成功率が高い。


(3)ワーファリンコントロール
 心房細動の塞栓症リスク評価に、CHADS2*2が有効である。CHADS2は、うっ血性心不全(CHF)、高血圧症(HT)、年齢(Age:75歳以上)、糖尿病(DM)をそれぞれ1点、脳卒中既往(Stroke)を2点としてカウントするもので、これによって塞栓症リスクを低リスク、中リスク、高リスクと層別化する。脳梗塞発症群はそれだけで再発リスクが高いので、PT-INRを測定しながら、ワーファリン服用を継続すること。
 抜歯や体表の小手術(白内障治療など)では、ワーファリンを中止しないこと*3内視鏡時には生検必要かどうか悩むような病変の場合には、いったん経過観察とするが、時期をおかずに再検査をする。このような病変では多少待っても大丈夫。明らかに悪性腫瘍を疑うような場合には、専門医療機関にすぐに送る。


 ふだんお付き合いがない診療科の先生とフリーディスカッションをしたが、勉強になった。それにしても、参加された開業医の先生方のレベルはきわめて高い。考えてみれば、つい最近まで大学病院や専門医療機関で研究活動をしていた先生方が第一線医療の現場で工夫をしているのだから当然なのかもしれない。