新型インフルエンザ(AH1/N1)ワクチン接種方針に関する情報
新型インフルエンザ(AH1/N1)ワクチン接種方針に関する情報が公開された。
平成22年9月以前のワクチン関連情報|厚生労働省の下方に「10月2日 新型インフルエンザ対策担当課長会議」がある。この会議で使用された資料6 受託医療機関等における新型インフルエンザ(A/H1N1)ワクチン接種実施要領(案)と参考資料の中に、ワクチン接種優先順位に関する情報が明示されている。
医療従事者に関しては、「実施要領(案)」の1〜2ページにかけて、次のように記載されている。
1.インフルエンザ患者の診療に直接従事する医療従事者(救急隊員を含む。以下同じ。)
○「新型インフルエンザ患者の診療に直接従事する医療従事者」の範囲は、原則として医業をなす病院又は診療所において新型インフルエンザ患者の診療に直接従事する医療従事者とする。
また、診療科及び職種については、次のとおりとする。
また、基礎疾患を有する者に関しては、「実施要領(案)」の13〜38ページにかけて、次のように記載されている。
優先接種対象とする基礎疾患の基準について
○ 国内外の事例においては、基礎疾患を有する者について入院数や重症化率、死亡率が高いことが確認されており、新型インフルエンザのリスクが高いことが示唆されている。WHO、CDC等において報告されているハイリスクグループおよび国内で発症した患者の基礎疾患等総合的に勘案し、下記の疾患・状態で入院中または通院中の者を新型インフルエンザワクチンの優先対象とする。1. 慢性呼吸器疾患※1
2. 慢性心疾患※2
3. 慢性腎疾患※3
4. 慢性肝疾患※4
5. 神経疾患・神経筋疾患※5
6. 血液疾患※6
7. 糖尿病※7
8. 疾患や治療に伴う免疫抑制状態※8
9. 小児科領域の慢性疾患※9※1 気管支喘息やCOPD、気管分泌物の誤嚥のリスクのある者(脳性麻痺、認知機能障害、精神運動発達障害等)を含む。
※2 血行動態に障害がある者を対象とする。ただし、高血圧を除く。
※3 透析中の者、腎移植後の者を含む。
※4 慢性肝炎を除く。
※5 免疫異常状態、あるいは呼吸障害等の身体脆弱状態を生じた疾患・状態を対象とする。
※6 鉄欠乏性貧血、免疫抑制療法を受けていない特発性血小板減少性紫斑病と溶血性貧血を除く。
※7 妊婦・小児、併発症のある者。またはインスリンおよび経口糖尿病薬による治療を必要とする者。
※8 悪性腫瘍、関節リウマチ・膠原病、内分泌疾患、消化器疾患、HIV感染症等を含む。
※9 染色体異常症、重症心身障害児・者を含む。
さらに、「実施要領(案)」の4ページには、対象者の確認について、次のように記述されている。
(1)接種の予約等
受託医療機関においては、インフルエンザ患者も多数通院していることが予想されることから、優先接種対象者等の感染リスクを防止するため、接種を行う場合は予約制とし、ワクチン接種を行う時間と他の患者の診療時間とを区分する。
(2)対象者の確認
1 基礎疾患を有する者:優先接種対象者証明書(様式第1)
※ かかりつけ医が接種する場合はこの限りではない。
診療現場の混乱が目に浮かぶ。まず、新型インフルエンザワクチン対象者に関して、診療科・職種によって職員が選別することが迫られている。さらに、かかりつけ患者の中で優先接種対象者を選ぶという手間が必要になってくる。11月から、基礎疾患を有する者の優先接種が始まる。今から準備しないと到底間に合わない。
優先接種対象からはずれた患者の苦情が増えることも懸念される。回復期リハビリテーション病棟に入院している脳卒中患者でも、誤嚥のおそれがなく、併存症が対象とならない場合には、対象からはずれる。
公衆衛生の概念からすれば、できる限り多くの国民に新型インフルエンザワクチンの接種をする方が望ましい。新型インフルエンザワクチン供給が間に合わなかったという事態は、行政の明らかな失態である。