主治医意見書は、病院勤務医にとって過剰な負担

 介護保険主治医意見書は、医師不足に悩む病院勤務医にとって、過剰な負担となっている。

07/31 08:56
 共立蒲原総合病院(富士市中之郷)で職員が要介護認定に必要な医師意見書を偽造していた問題で、同病院の木村良一院長は30日会見し、偽造意見書が静岡市富士市芝川町などの100人分の105件に上るとした。偽造された医師の署名も17人分だった。同病院と静岡市は同日、病院医事課の男性職員(34)を富士署に有印公文書偽造・同行使の疑いで刑事告発した。


(中略)


 病院によると、偽造が行われたのは職員が医師意見書の事務担当になった昨年4月から今年6月末までで、この間に同病院の医師に寄せられた意見書作成依頼836件のうち105件を偽造していた。他に真偽が未確認の13件の意見書があるという。
 職員は認定更新の場合は以前の意見書を写し、新規申請の場合は申請者のカルテを勝手に見て、独自に判断して意見書類に記入していたという。


(中略)


 職員は偽造理由を「忙しい医師に意見書の作成を頼みづらかったため」と話しているというが、意見書の作成依頼は業務上の通常作業で、会見した木村院長は「動機は理解できない部分もある」と述べた。

偽造意見書100人分105件 職員を告発、謝罪/静岡新聞


 ページが見つかりませんをみると、共立蒲原総合病院の病床数は330床である。医師の紹介に掲載されている医師数は、内科5名、外科6名、泌尿器科1名、脳神経外科3名、整形外科1名、小児科1名、眼科1名、皮膚科1名の計19名である。この規模の病院としてはかなり少ない。単純計算すると、1人あたり入院患者17名となる。外来中心と思われる診療科を除くと、内科・外科・脳神経外科・整形外科あわせ15名であり、1人あたり22名であり、急性期病院だとすると毎日1名以上の新入院があると予測する。これに外来や日当直業務、会議が加わる。かなりのハードワークである。
 主治医意見書は15ヶ月で836名なので、月あたり約56件に及ぶ。1人あたりにならすと、約3〜4名というところになる。
 チームで主治医意見書を作るという立場なら、ほとんどの項目はコメディカルに記載を頼むことは可能である。また、他の報道をみる限り、共立蒲原総合病院はコンピュータで主治医意見書を管理していた。したがって、更新申請の場合、修正したものを医師がチェックし、サインをもらうというやり方でも対応可能である。ただし、医師が記載しなければならない書類は主治医意見書だけではない。入院診療計画書、生命保険診断書などを初め、山のようにある。
 書類担当者が依頼を躊躇したくなるほど日常業務が殺伐とした雰囲気となっていたのではないか。許される行為ではないが、個人責任を問うのは可哀想な気もする。