アヤソフィアで天使の顔のモザイク画発見
先日、次のような記事が配信された。
【カイロ共同】ビザンチン帝国時代にキリスト教の大聖堂として建てられ、オスマン帝国下でモスク(イスラム教礼拝所)に転用されたトルコ西部イスタンブールのアヤソフィア博物館で25日までに、天使を描いたビザンチン時代のモザイク画の顔部分が約160年ぶりにしっくいの下から姿を現した。トルコメディアが伝えた。
http://www.kahoku.co.jp/news/2009/07/2009072501000081.htm
大聖堂内壁のモザイク画は、ビザンチン帝国の首都コンスタンティノープル(現イスタンブール)が1453年にオスマン帝国に占領された直後、偶像崇拝を禁じるイスラムの教義に従い、塗りつぶされた。
六つの羽を持った天使のモザイク画は天井のドーム下部にあり、保存状態は良好。オスマン帝国時代の19世紀中ごろ、スイス人建築家が存在を確認し修復した後、再びしっくいで覆い隠されていた。
アヤソフィアは1935年に博物館となった後、内壁から洗礼者ヨハネやイエス・キリストなどのさまざまなモザイク画が見つかっている。
発見された天使の顔。隣に映っているのはトルコの文化大臣Ertugrul Gunay氏。*1
ISPRMでイスタンブールに行った時、アヤソフィアを訪れた。
アヤソフィアは数奇な運命をたどった世界遺産である。
360年に、コンスタンティヌス2世によりギリシャ正教の総本山として創建された。現存する建物は、537年にユスティニアヌス大帝により再建されたものである。
1453年、オスマン帝国のメフメット2世がコンスタンティノープルを制圧した後、最初にイスラムの祈りをささげたのは、この大聖堂である。その後、アヤソフィアの周囲には4本のミナレットが建てられモスクへと改修された。
1935年、トルコ共和国の建国者ムスタファ・ケマル(アタチュルク)の命により、アヤソフィアは博物館となり、一般公開されるようになった。
キリスト教、イスラム教双方にとって、聖なる建造物であり、ビザンチン建築の最高傑作である。
アヤソフィアには、数々のモザイク画が残されている。オスマン帝国は宗教的には寛容であり、イスラム教以外の信仰も許されていた。数々の宗教画も破壊されず、漆喰で覆われただけだった。その結果、モザイク画は良好な状態を保つことができた。
現在、アヤソフィア内部は修復工事用の大きなタワーが組まれている。今回、見つかった天使の顔のモザイク画もこのタワーに隠されて一般観光客は見ることができないとのことである。
「祝福を与えるイエス」。入り口近くにある。
アヤソフィアの内陣。巨大な円盤には、アラビア文字で神や預言者、正統カリフの名が書かれている。
円盤の斜め上に「聖母子」が描かれているのがみえる。荘厳な空気の中で、イスラム教とキリスト教が共存している。
「聖母子に献上する皇帝」。中央に幼いキリストを抱くマリア、左にコンスタンティノープルの町を献上するコンスタンティヌス大帝、右にアヤソフィアを捧げるユスティニアヌス大帝が描かれている。