Narukoは世界でも有名な温泉

 火星のNarukoにも温泉があるらしい。

 なんと,「Naruko」クレーターの壁面に,液体の水が流出したと思われる跡が見つかったのです。
もっと正確にいえば,2005年に水の流出が認められたクレーターに,昨年「Naruko」と命名された,ということになります。
 クレーターは,壁面の峡谷に地下水が流出してできたとみられる堆積物がみつかるなど,地質的に活発な場所であることが明らかになっています。科学者によれば,過去10年間の間に液体の水が流れたのだろうとのことです。
 非常に寒冷な火星の表面に液体の「水」となれば,その温度によらず,(火星では)温泉が湧いた! と考えられるのではないでしょうか。温泉で有名な「鳴子」と,火星の「Naruko」がつながった! 実におもしろい話です。


(中略)


 以上のような,学術的にも大きな価値をもつクレーターが,「Naruko」クレーターだったわけです。


 この事実が論文で発表されたころは,まだ「Naruko」と命名される前でした。命名当時も,この事実はわたしたちは知りませんでした。
 その後,東亜天文学会の佐藤健氏が,IAU火星命名タスクグループ議長のブラッドフォード・スミス博士に問い合わせた結果,以上のことが判明した次第です。
 スミス博士は,「このクレーター内の地下水流出によって作られたと思われる複数の溝があると科学者のレポートがあった。温泉で知られる鳴子の町の名を,このクレーターに命名するのは適切だろう」と考えたそうです。

http://www.palette.furukawa.miyagi.jp/space/naruko_090623.html


 温泉は日本に根づいた文化である。他国では療養目的で利用することはあっても、日本のように観光地として発展していることろは少ない。その意味で、温泉=日本という発想が出てきたことは不思議ではない。問題は、なぜNarukoかということである。
 Beppuでも、Kusatsuでも、Hakoneでもなく、Narukoが選ばれた意味が気になっている。Narukoは、今まで知られている11の泉質のうち、9種の泉質が集まっている日本でも稀な温泉郷である。しかし、知名度が他の温泉郷をしのぐレベルに達している訳ではない。もしかしたら、このスミス博士はかなりの温泉フリークなのかもしれない。