新型インフルエンザ対応は60歳以上の医師の役割?

 本日、臨時感染対策委員会が開かれた。当面、新型インフルエンザ疑い患者が直接来院した場合には、厚労省の指導どおりに対応することを確認した。すなわち、患者隔離を行いながら、発熱センターに連絡をするということである。今後予想される蔓延期の対応は、その時点で自治体や医師会と相談しながら検討することにした。
 会議後の中で、蔓延初期の段階では新型インフルエンザ患者の担当医を決めた方が良いだろうという話になり、参加メンバーであるベテラン医師から次のような発言がされた。

 若い先行きがある医師よりは、そろそろリタイアする医師が担当した方が良い。60歳以上は新型インフルエンザに感染しないという情報もある。


 確かに、次のような報道がされている。

 世界中に感染が広がっている新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)について、高齢者の感染者が少ないことが注目を集めている。「高齢者には何らかの免疫があるかもしれない」と指摘する専門家もいる。


 米疾病対策センターCDC)は6日、米国内で感染が確認された642人の患者のうち、58%が18歳未満の若者だったと発表した。通常の季節性インフルエンザでは、乳幼児や高齢者の感染者が多いだけに、新型インフルエンザでは、なぜ、若者に感染者が集中するのか憶測を呼んでいる。


 感染者の最も多いメキシコでも、高齢者の感染者が少ないのは同じで、同国内で最多の治療実績を誇る国立呼吸器疾患研究所付属病院でも、重症で入院する患者の大半が20〜50歳だった。


 世界保健機関(WHO)の緊急委員会委員を務める田代真人・国立感染症研究所インフルエンザウイルス研究センター長も、今回の新型インフルエンザで60歳以上の感染者がほとんどいないことを不思議がる。


 田代センター長は「今から60〜65年前に、今回の新型ウイルスに似たウイルスが流行し、高齢者が免疫を獲得している可能性がある」と指摘する。CDCのリチャード・ベッサー所長代行も6日の記者会見で、春休みにメキシコを旅行した若者から新型インフルエンザの感染が広がったのが一因としながらも、高齢者が新型のウイルスに対して免疫を持っている可能性があるとの見解を示し、今後詳しく調査する必要性を強調した。

http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20090508-OYT8T00248.htm


 新型インフルエンザは、弱毒型と言われている。ベテラン医の発言も切迫感がかけていた。ただし、当初想定していた強毒型の鳥インフルエンザと比較して弱毒型と呼ばれているのであり、通常の季節性インフルエンザと大差がない。また、北米では60歳以上の患者が少ないからと言って、日本でも同様とは限らない。今回の新型インフルエンザにはまだまだ分からないことが多い。現時点では、診察担当医を決めることはせず、医局会議等で相談することにした。


 蔓延期になった場合、少数精鋭主義では到底対応できない。ベテラン医だけに頼らず、病院に勤める医師が全て新型インフルエンザの診療をするという気構えが求められる。患者が爆発的に増えるのは、おそらく、今年の11月以降である。本番は半年後に迫っている。