トヨタ九州、ボランティア事業に従業員を派遣

 トヨタのこの取組みは評価したい。

 トヨタ自動車九州(福岡県宮若市)が今月中旬から、福岡県宮若市と同県宗像市でのボランティア活動に従業員を派遣することが6日、分かった。急激な需要減に伴う減産態勢で約2000人が余剰人員となっており、工場に出勤しても仕事が少ない従業員たちに活躍の場を提供し、会社として地域に貢献する狙い。


 会社側は活動を勤務とみなし、通常通り給与を支払う。余剰人員を削減せず、ボランティア活動に従事させる取り組みは異例。


 正社員、派遣社員を問わず希望者を募る。同社は、1日に少なくとも計40‐50人を派遣できるとみている。宮若市では、損ケ熊古墳の発掘、同市の有形文化財でかつて石炭運搬に使用された蒸気機関車(SL)「アルコ22号」の塗装、不法投棄ごみの回収などに従事。宗像市では放置された竹林での伐採作業に取り組む。活動の内容は、両市の要望を受け入れて決めた。当面は3月末までの予定。


 同社は主市場の北米の需要減少に伴い、昨年6月から減産を続けている。今月からは車両組み立てを手掛ける宮田工場の全2ラインを昼のみの稼働とし、生産ペースをさらに落とした。これにより、正社員・派遣社員を合わせた計約7600人(1月1日現在)のうち、約2000人が余剰になった。2008年度は前年度よりも約15万台少ない29万台弱の生産にとどまる見通し。


 同社幹部は「地元自治体には、(減産に伴う)法人市民税の納入減などで迷惑をかける。ボランティアで、日ごろお世話になっている方々のお手伝いになればうれしい」と話している。


=2009/02/07付 西日本新聞朝刊=

http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/75911


 報道をみる限り、正社員だけでなく、派遣社員もボランティア派遣の対象となっている。派遣切りで社会的批判を浴びたことがよほど応えたらしい。幹部職員の発言も殊勝である。地域社会への貢献と雇用対策となる活動こそ、損して得をとることになる。企業の好感度もあがる。トヨタが雇用維持へと対応を変え始めた兆しと信じたい。