介護人材3年間で10万人増を目標とするプロジェクトチーム設置

 介護分野の人材不足を解消し、雇用対策を進めるために、厚労省は「医療・介護・サービス分野などの雇用拡大プロジェクトチーム」を設置することを決めた。

介護人材10万人増、厚労省が3年計画


 厚生労働省2009年度からの3年間で介護人材を10万人増やすことを目標に、対策を強化する。職業訓練や資格取得支援を拡充するほか、相談員を置いて離職を防ぐ。16日には省内に医療・介護分野の雇用拡大を目指すプロジェクトチームを設けることも発表した。失業者の受け皿として介護分野への期待は強まっている。経済財政諮問会議の議論を受けてさらなる強化策も求められそうだ。
 福祉・介護分野への就職支援のため、ハローワークに「福祉人材コーナー(仮称)」を設置。求職者が無料で受講できる職業訓練の対象に介護福祉士を加え、ホームヘルパーの訓練も定員を拡充する。介護の未経験者を雇って6カ月以上定着させた事業主には、1人当たり50万円(年長フリーターの場合は100万円)の助成金を支給する。


 就職希望者が職場を体験する機会もつくる。都道府県の人材センターやハローワークと連携し、体験希望者を受け入れた事業者に1人1日当たり最大5920円を助成する。


 将来の進路に介護職を志望する人材を増やすため、介護福祉士などの養成施設で学ぶ人に資金を貸し付ける制度も拡充する。上限を現在の月3万6000円から5万円に引き上げ、入学・卒業時には20万円を貸与。介護の仕事に5年間従事すれば、返済を免除する。養成施設が高校や地域団体で実施する説明会などの事業に対しても、最大で500万円を補助する。

NIKKEI いきいき健康


 雇用情勢が悪化する中、受け皿として介護職がクローズアップされている。
 厚生労働省:平成18年介護サービス施設・事業所調査結果の概況、「従事者の状況(1)職種別常勤換算従事者数」に平成18年10月1日現在の従事者数が示されている。

訪問介護 訪問入浴 通所介護 通所リハ 短期入所 特定施設 グループホーム 特養 老健 介護療養
総数 176,527 9,580 177,094 57,513 97,550 41,422 101,917 240,683 176,170 90,941
介護職員 167,141 5,886 94,565 37,884 64,294 31,855 90,375 156,253 94,297 37,542
介護福祉士(再掲) 35,411 1,379 20,330 11,764 25,065 6,616 17,843 66,977 44,013 8,522


 常勤換算で、居宅サービス系で約50万人(内介護福祉士約12万人)、施設サービス系で約30万(同約12万人)人の介護職員がいることになる。2009年度からの3年間で10万人増という目標は、約12%増ということを示している。
 本表には、平成17年10月1日現在のデータも載っている。訪問介護は、184,858人から176,527人へと減少している。平成18年4月1日から実施された介護保険制度見直しと介護報酬引き下げの影響があったと推測する。
 2009年度改定で介護報酬が約3%引き上げられた。しかし、この程度では介護事業所の経営改善にはほど遠い。官製ワーキングプアとも呼ばれる介護職員の待遇を改善をすることが、介護職員増だけにとどまらず日本の雇用情勢全体の改善に結びつく。報道で示された対策にとどまらず、より大胆な政策実行を期待する。