経管栄養剤静脈内誤投与事故はリスク管理を怠った病院管理部に責任あり

 初歩的な医療ミスが報道された。

看護師が点滴ミス、87歳男性死亡 茨木市の病院
2009年1月5日


 大阪府警は5日、同府茨木市の「友紘会総合病院」に入院中の男性患者(87)=同府箕面市=が、胃に直接投与する注入食を誤って静脈に注入された後、死亡したと発表した。府警などによると、女性看護師(45)が「私のミス」と説明しているといい、業務上過失致死の疑いで調べている。


 茨木署によると、2日午後4時ごろ、女性看護師が液体状の注入食を男性患者に投与した。約30分後、別の看護師が、男性の腕の静脈につながる点滴用チューブに、注入食の容器が誤って接続されているのに気づいたという。医師が応急処置をしたが、男性は同日午後5時40分ごろ死亡。司法解剖の結果、死因は誤投与による副作用と判明したという。


 女性看護師は「次々とやることがあり、確認しきれなかった」と話しているという。当時、男性患者がいたフロアでは46人の入院患者を看護師と介護ヘルパー各2人の計4人で担当していたという。


 男性は05年3月に入院。寝たきりの状態だったという。5日に会見した同病院の斉藤裕之副院長は「医療ミスで家族にも謝罪させて頂いた。今後は器具の色を変えるなど、再発防止に努めたい」と陳謝した。

http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200901050080.html


 以前より、同種の事故は繰り返し起こっていた。経管栄養剤を誤って静脈内に投与した場合には致死的な事態に陥る。予防策は確立している。

消化管投与系器具の血管系への誤接続防止


 消化管投与系薬剤の血管ルートへの誤接続投与事故の問題は、ともすれば当事者の不注意や訓練不足などの個人的要因が問題視されますが、個人的要因以外の様々な要因が複合的に絡まっています。
 消化器系疾患の病棟などでは、経腸栄養治療の実施患者と静脈栄養治療の実施患者の同室在院や、1人の患者に対する血管輸液ルートと消化管チューブの同時設置もあります。そこで問題視すべきは点は、消化管投与系の器具の接続コネクターが、一般輸液用器具のコネクターと共通規格だと、「間違ったときにもつながってしまう」ために、フェイルセーフが働かないことです。
 そこで、消化管投与系器具の接続口径を別規格に分離すべきという観点から、消化管投与系のコネクター側の規格をカテーテルテーパーに変更することで、相互の互換性を無くす安全対策製品の製造を、平成12年5月より開始しました。

NIPRO-ニプロ株式会社- 「その技術は、人のために。」


 医療事故の当事者となった女性看護師に罪はない。今回の医療事故は、間違いを生じやすい状態を放置していた病院管理部に責任がある。