介護報酬改定 訪問系のまとめー訪問介護

 資料1−2 平成21年度介護報酬改定の概要 全体版(PDF:654KB)(以下 「概要」)と、資料1−3 諮問書(平成21年度介護報酬改定について)全体版(PDF:1,339KB)(以下 「諮問書」)をもとに、訪問介護、訪問入浴介護に関する改定の内容をまとめる。使用した資料は下記のとおりである。なお、「諮問書」のページ数はPDFファイルのページ数を示している。

  • 訪問介護(概要P9〜12、37)(諮問書別紙1−1 P5〜12、別紙2-1 P178〜183、別紙6 P318、324)
  • 訪問入浴介護(諮問書別紙1−1 P12〜15、別紙2-1 P183〜186)


# 訪問介護
(1)基本部分

  • 身体介護
    • 30分未満: 231単位 → 254単位
    • 30分以上1時間未満: 402単位
    • 1時間以上: 584単位(30分増すごとに+83単位)
  • 生活援助
    • 30分以上1時間未満: 208単位 → 229単位
    • 1時間以上: 291単位

 なお、介護予防訪問介護の点数は変更はない。


(2)特定事業所加算


* 訪問介護費に係る特定事業所加算の基準

  • 特定事業所加算(I): 体制要件、人材要件(1及び2)、重度要介護者等対応要件のいずれにも適合
  • 特定事業所加算(II): 体制要件、人材要件(1又は2)のいずれにも適合
  • 特定事業所加算(III): 体制要件、重度要介護者等対応要件のいずれにも適合

 以下、赤字が追加ないし変更されたところ
<体制要件>

  1. すべての訪問介護員等に対して個別の研修計画を作成し、研修を実施又は実施を予定していること。
  2. 利用者に関する情報、サービス提供に当たっての留意事項の伝達又は訪問介護員等の技術指導を目的とした会議を定期的に開催していること。
  3. サービス提供責任者が、訪問介護員等に利用者に関する情報やサービス提供に当たっての留意事項を文書等の確実な方法により伝達してから開始し、終了後、適宜報告を受けていること。
  4. すべての訪問介護員等に対し、健康診断等を定期的に実施していること。
  5. 緊急時等における対応方法が利用者に明示されていること。

<人材要件>

  1. 訪問介護員の総数のうち介護福祉士が30%以上、又は介護福祉士・介護職員基礎研修課程修了者・1級訪問介護員の合計が50%以上であること。
  2. すべてのサービス提供責任者が5年以上の実務経験を有する介護福祉士 → すべてのサービス提供責任者が3年以上の実務経験を有する介護福祉士又は5年以上の実務経験を有する介護職員基礎研修課程修了者・1級訪問介護員であること。ただし、居宅サービス基準上、1人を越えるサービス提供者を配置しなければならない事業所については、2人以上のサービス提供者が常勤であること。

<重度要介護者等対応要件>

  1. 前年度又は前3月の利用者のうち、要介護4ー5・認知症日常生活自立度III以上の利用者の総数が20%以上であること。


(3)初回加算(新規): 200単位

(4)緊急時訪問介護加算(新規): 100単位/回

  • 算定要件: 利用者やその家族等からの要請を受けて、サービス提供責任者がケアマネジャーと連携 を図り、ケアマネジャーが必要と認めたときに、サービス提供責任者又はその他の訪問介 護員等が居宅サービス計画にない訪問介護(身体介護)を行った場合

(5)3級ヘルパーの取り扱い(介護予防訪問介護も同様): 所定単位数の100分の70、介護予防訪問介護では100分の80
 3級ヘルパーについては、原則として平成21年3月末で報酬上の評価を廃止するが、現に業務に従事している者については、最終的な周知及び円滑な移行を図る観点から、事業者が該当する従事者に対して、2級課程等上位の資格を取得するよう通知することを条件に、1年間に限定した経過措置を設ける。
(6)中山間地域等における小規模事業所加算: 所定単位数の10%を加算
(7)中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算: 所定単位数の5%を加算


【指定基準の改正概要】
<人員に関する基準>
 サービス提供責任者の配置に関する規定を以下のとおりに改正する。

  • 指定訪問介護事業所ごとに、訪問介護員等であって専らしてい訪問介護の職務に従事するもののうち事業の規模に応じて1人以上の者をサービス提供責任者としなければならないこと。
  • 常勤職員を基本としつつ、非常勤職員の登用を一定程度可能とすること。
  • 居宅サービス基準上、1人を超えるサービス提供者を配置しなければならない事業所においては、原則として1人分のみの常勤換算を可能とすること。
  • あわせて、居宅サービス基準上、5人を超えるサービス提供責任者を配置しなければならない事業所については、当該事業所におけるサービス提供責任者の3分の2以上を常勤の者とすること。
  • この場合の非常勤のサービス提供責任者については、当該事業所における勤務時間が、当該事業所において定められている常勤の従事者が勤務すべき時間数の2分の1に達していること。


# 訪問入浴介護
(1)サービス提供体制強化加算: +24単位

  • 算定要件: 研修等を実施しており、かつ、次のいずれかに該当すること。
    • 介護福祉士が30%以上配置されていること。
    • 介護福祉士及び介護職員基礎研修終了者の合計が50%以上配置されていること。

(2)中山間地域等における小規模事業所加算: 所定単位数の10%を加算
(3)中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算: 所定単位数の5%を加算


 訪問介護では、特定事業所加算が注目される。2006年度改定時と比べ、人材要件と重度要介護者等対応要件が緩和されている。訪問介護事業所の経営を考えると、10%増し、20%増しという報酬は魅力的にうつる。介護福祉士の割合が高いこと、サービス提供責任者の常勤化などが求められている。介護福祉士の待遇改善を目指した改定といえる。訪問入浴介護も同様である。
 短時間の訪問介護報酬が若干増額された限り、基本部分には変化がない。訪問介護事業所の経営改善につながる改定とは言えず、期待はずれのものとなった。


 介護報酬改定シリーズは、お正月はお休みとします。最も興味ある通所関係の検討は、もう少し資料を読み込んでから掲載する予定です。
 今年も1年間ご愛読ありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします。