「医療費の窓口負担『ゼロの会』」への賛同が広がる

 医療費の窓口負担「ゼロの会」 宇沢弘文・多田富雄 両東大名誉教授が賛同「価値ある市民運動 力をつけて充実を」 | ゼロの会 | 神奈川県保険医協会をご紹介する。

宇沢弘文多田富雄 両東大名誉教授が賛同「価値ある市民運動 力をつけて充実を」


 「ゼロの会」に経済学者の宇沢弘文氏、免疫学者の多田富雄氏、ジャーナリストで明治大教授の蟹瀬誠一氏、脚本家のジェームス三木氏の著名人4名から新たに賛同が寄せられた。これで著名人賛同は30名を数え、一般賛同・請願署名は合わせて1万2千名を超えた。
 「ゼロの会」は窓口負担を解消して、受診抑制や治療中断をなくし皆保険を守る運動。昨年1月に当協会の提唱で発足した。医療者のみならず患者・国民の主体的行動と広範な世論形成が実現の鍵と、リーフレットで賛同を呼びかけている。神奈川発の医療改革とマスコミでも多々、紹介されている。
 

 賛同者の宇沢、多田両氏とも東大名誉教授。宇沢氏は経済学の泰斗で近年、医療・教育などの「社会的共通資本」を提唱。多田氏は免疫学の世界的権威。脳梗塞で身体の自由を失いながらも、先頃、自身のリハビリ闘病記『寡黙なる巨人』で小林秀雄賞を受賞している。
 宇沢氏は「世界に誇るべき日本の皆保険医療制度を守るために、がんばって下さい。私もできるだけのことをしたいと思っています」と、また多田氏は「市民運動として、これは価値あるものです。力をつけて、充実して下さい」と直筆のメッセージが添えられた。
 蟹瀬氏は、米AP通信や仏AFP通信記者を経た後、TBS『報道特集』やテレビ朝日『スーパーJチャンネル』キャスターなど、ジャーナリストとして日本でも活躍。04年からは、明治大学にて教鞭をとっており、同大学・国際日本学部長でもある。「医療はみんなの問題です。ぜひより良い制度を実現しましょう。」とのメッセージも寄せられている。
 ジェームズ三木氏は脚本家・作家で、「独眼竜正宗」などNHK大河ドラマで有名。「老後こそ安らぎを」と簡潔なメッセージが寄せられた。会の発足2年目も半ばを越える中でのビッグニュースで、「ゼロの会」は大きな援軍を得た格好となった。
 

 このほか、新たな運動の萌芽も生まれている。豊橋市民病院が病院の広報誌で自主的に「ゼロの会」の活動を紹介。これを見た方から、「できる範囲でリーフレットの普及と賛同拡大に協力したい」と、心強いメッセージが寄せられている。
 9月末現在、「ゼロの会」への賛同は2583名、請願署名9529名、団体賛同55団体と着実に増加。賛同者からは、「単なる窓口負担だけの問題ではなく、国家・国民全体の制度・意識改革に繋がる重要な運動と感じます(茨城県・男性)」や、「安心して医療を受けたいです。医療費は家計を圧迫することが多く、受けたいけど…と悩むこともあります。それじゃ困るんです(島根県・女性)」など、全国各地からメッセージが寄せられている。


 「ゼロの会」への賛同者 | 医療費の窓口負担「ゼロの会」に全賛同者のメッセージが紹介されている。


 度重なる医療制度改悪の中、公的医療費は厳しく抑えられる一方、患者の窓口負担が増大した。日本が世界に誇る財産、国民皆保険制度が危機に瀕している。医療崩壊の進行を防ぐためには、公的医療費の拡大が必要である。しかし、医療費窓口負担を放置すると、経済的に厳しい層が医療から排除される。低収入層の多い国民健康保険制度では窓口負担3割が重くのしかかっている。さらに、負担能力を越えた保険料徴収のために、滞納世帯も20%に近づいている。
 神奈川保険医協会の行っている「医療費の窓口負担『ゼロの会』」運動は時宜にかなったものである。この間、医療問題に関し旺盛に発言を続けている宇沢弘文氏、多田富雄氏から賛同をいただいたことも心強い。
 医療者が疲弊している一方、患者の受診抑制が進行し、健康被害が生じている。医療の公共性を保障するためには、公的医療費を増やすこと、患者窓口負担をゼロに近づけること、この両者がともに必要である。