男女共通のトイレマーク、誤りを誘発

 中日新聞やはり必要?トイレの男女マーク 揺れる大府市より。

やはり必要?トイレの男女マーク 揺れる大府市
2008年10月28日


 「男女共同参画」の視点から、トイレのマークに同一のデザインを採用してきた大府市が揺れている。男女の区別が付かず、迷う人が多いため。「分かりやすさ」の面から、現在建設が進む施設には、新しいマークを取り入れる方向で検討中だ。


 市役所のトイレのマークは男女とも緑色で、便座に人が座ったデザイン。その下に「男/おとこ/Men」などと表示して区別している。2000年に建設された時、業者が提案したデザインの中から選んだ。


 「女は赤でスカート」などの従来型のマークでは「区別が固定化して差別を生むことを懸念し、いっぺん同一にしてみようかと(踏み切った)」と当時総務部次長だった久野孝保市長は振り返る。その後JR大府駅など4カ所の市施設にも採用し、理解を求めてきた。しかし、浸透するまでには至らず、来年度オープンする市民活動センターには、障害者や外国人にも分かりやすいデザインの観点も加えることを検討している。


 男女統一のトイレマークは、1996年に県の女性総合センター(ウィルあいち)が、男女とも文字だけの表示を採用したのをきっかけに広がった。知多市でも一時採用したことがあった。


 流れが変わったのは、05年に国の男女共同参画基本計画に「トイレ表示を同色にすることは、男女共同参画の趣旨から導き出されるものではない」と明記されてから。ウィルあいちも現在、試験的にスカートなどのマークを付け、利用者の反応を調べている。


 中部の空の玄関、中部空港は男はヒト形、女はスカートのマークだ。「JISマークを基準に、白抜きにしたり赤青で表示したりしている」と同空港広報。公共施設はこの02年に制定されたJISを採用している例が多い。トイレ製品を手掛けるINAX(常滑市)は「間違って入ると影響が大きいだけに、男女別が分かりやすい配慮が必要。形で区別する場合が多く、施設全体のデザインの中で決まります」。


 大府市では男女共同参画審議会が「同色、形で区別」の意見を出し、市民活動センター建設検討委員会に諮られるところ。せっかくの機会なので議論を深め、新施設は独自のマーク誕生という便りを発信する所にできないだろうか。


(長坂幸枝)


 男性が女性トイレに入ると痴漢と誤解される。、間違いやすい構造自体が誤りを誘発する。トイレを男女共用とする社会的合意をつくる意図があるのならともかく、トイレマークを同一のものにするなど、「男女共同参画」という言葉を取り違えた愚行である。


 リスク管理の視点から、アフォーダンスという概念が脚光を浴びている。使いやすさ研究所、用語解説 アフォーダンスには、次のような説明がある。

 インターフェイスのデザインにアフォーダンスを利用すると、ユーザはその扱い方を知らずとも、その時々物体の方が扱い方を教えてくれる。つまりユーザがその物体について知っていなくてはならない事の量を減らすことが出来る。


 スカートを履いた赤い人形をみるだけで、女性専用トイレということが分かる。わざわざ、「女性」「Women」という記述を見なくても行動できる。アフォーダンスという概念を生かし、どの国の人も同じように行動できる優れたユーザーインターフェースである。


 調べてみると、アフォーダンスな公衆トイレというサイトがあった。

工事が進む表参道駅で見つけた公衆トイレ。


男性のイラスト、女性のイラストが無くっても、どちらが男用で女用なのかが自然とわかる。


これは、青=男/赤=女という文化的なコード(変換装置・ものさし・価値基準・慣れのようなもの)があるからパッとみてそれとわかるわけで、こういうコードからデザインを考えるのがコミュニケーション・デザインのコツ、なんだろう。


August 7, 2005 01:18 PM


 アフォーダンスは、医療や介護のリスク管理においても大事な概念である。説明書を読まなくても、形を見ただけで誤りなく使用できるようにすることが事故を防ぐことに通じる。