介護保険サービス利用者が頭打ちとなっている。CBニュース、介護予防サービスが急増、初の100万人超より。
介護予防サービスが急増、初の100万人超
厚生労働省はこのほど、「2007年度介護給付費実態調査結果の概況」を発表した(07年5月―08年4月審査分)。介護サービスと介護予防サービスの年間受給者は合わせて437万400人で、前年同期から7万4700人増加した。
介護サービスの利用者は363万100人(前年同期比47万4500人減)、介護予防サービスは104万4500人(同24万1800人増)となっている(両方のサービスを受けた場合はそれぞれに計上)。06年度から導入された介護予防サービスの利用者が急増し、初めて100万人を超えた。
08年4月審査分の受給者一人当たりの費用は15万円で、前年同月比で1200円増加した。都道府県別に見ると、介護サービスでは高知県20万5800円、佐賀県19万8200円、石川県19万5800円の順で、介護予防サービスでは福井県4万3100円、石川県4万2600円、山形県4万2300円の順だった。
更新:2008/08/11 18:30 キャリアブレイン
CBニュースに示されているデータをもとに、2006年度に実施された介護保険法見直しの影響を検討する。
04年度 | 05年度 | 06年度 | 07年度 | |
---|---|---|---|---|
年間実受給者数(人) | 413.63万 | 439.84万 | 429.56万 | 437.04万 |
対前年度増加数(人) | 26.21万 | ▲10.28万 | 7.48万 |
06年度 | 07年度 | 対前年比増減 | |
---|---|---|---|
介護サービス | 410.47万 | 363.01万 | ▲47.45万 |
介護予防サービス | 80.27万 | 104.45万 | 24.18万 |
厚生労働省「平成19年度 介護給付費実態調査結果の概況」を基に作成。
※介護サービスと介護予防サービスを両方受けた人はそれぞれに計上。
結果は一目瞭然である。
高齢化と介護保険普及に伴い急速に増大した受給者が、2006年改定後にマイナスに転じている。2007年度には受給者は増加したが、それでも2005年度の水準には戻っていない。
さらに、2006年度以降は、介護サービス対象者(要介護1〜5)が減り、介護予防サービス受給者(要支援1〜2、経過的要介護)が増加している。
厚生労働省「平成19年度 介護給付費実態調査結果の概況」、1 受給者の状況をみると、さらに興味深いことが分かる。
2007年4月から2008年3月まで1年間継続してサービス受給していた者のうち、2007年4月時点の要介護1認定者52.65万人は、2008年3月時点では次のような結果になっている。
要支援1 | 要支援2 | 要介護1 | 要介護2 | 要介護3 | 要介護4 | 要介護5 |
---|---|---|---|---|---|---|
2.2% | 9.8% | 60.9% | 19.2% | 5.9% | 1.6% | 0.4% |
継続して認定を受けている者のうち、要支援1〜2となった者は12.0%と、要介護1のままの者60.9%より少ない。重度化した者は計27.1%となる。要介護1の相当部分が要支援2となり、介護予防サービス受給者が増加した訳ではない。では、何ゆえに要支援1〜2が増えているのか?
私は、2000年度介護保険施行と同時に介護認定審査会委員となった。長年認定審査会に参加してきた印象では、2006年度以降、一次判定がかなり厳しくなったと感じる。それでも、2005年度までに認定を受けた者は、前回認定結果を維持する方向で議論が進む。一方、新規申請者は一次判定どおりの結果となりやすい。要介護認定がより軽度の方向へとシフトするように一次判定ソフトが変更されたのではないかという疑惑がぬぐい切れない。
来年度の介護報酬改定時に、介護認定ソフトの大幅な手直しが予定されている。「要介護認定調査検討会」で議論が進められている。9月下旬に行われるモデル事業が行われる。巷で噂されている軽度要介護者の切捨てという荒療治ではなく、介護認定ソフトの変更という目立たない手段で受給者抑制を計画しているのではないかと疑っている。「要介護認定調査検討会」がどのような結論を出すのか注視していきたい。